| 著者はお茶の水女子大名誉教授の言語学者。本書は勉強にかかわる38篇のエッセーから成る。初出は1996年4月から2000年4月の雑誌「合格レーダー」(生憎知らないが)。著者は1923年生まれだから、73歳から77歳にかけて書かれたエッセーということになる。 文章は平易で読みやすい。しかし、内容の質は高く含蓄がある。また、具体例が豊富で、"serendipity"(偶然の発見)の挿話(p130、科学者などが実験中に思わぬ発見をすること)やプラシーボ効果(p171、偽薬効果ー例えば、ただの砂糖水であっても妙薬だといわれ信じて服用すると効果があったりすること)の話などはいずれも興味深い。それぞれの内容は難しいことではないが、その由来や正確な呼称を私は知らなかった。 「三つのことば」というエッセーでは、日常使用するアルファー語、物語や小説のベーター語、論理的なガンマー語の3種に分け、勉強するとはガンマー語を勉強することだと、至って判りやすい。体で覚える暗黙知と知識としての言語知のエッセーも示唆に富み、暗黙知を軽視してはならないとの指摘は文化評論でさえある。 本書の書名は、一見ノウハウ書のようであるが、実は内容は極めて濃い。私は食い入るように耽読してしまった。 |