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 茶の本 (講談社バイリンガル・ブックス)
茶の本 (講談社バイリンガル・ブックス)
 
¥ 1,260
発売日:1998-03
講談社インターナショナル
オススメ度:
通常24時間以内に発送
 


 


■  『茶の本』は、茶の本ではない
「茶の本」というタイトルは、とくに若者にとって魅力的なものではない。かく言う私も高校時代に今は亡き教師から熱弁をふるわれたが、このタイトルではどうもピンと来なかったという記憶がある。
本書『茶の本』は、茶の本ではない。欧米人に日本文化を理解させるためには、まず彼らの気を惹かねばならない、そのためにとられた戦略からこのタイトルとなったと思われる。これは決して茶の本ではないのである。
本書は東洋の美意識、わけても日本の空間的美意識の奥深さを伝えて余すところがない。これは天心の同時代人である漱石の、とくに『草枕』に通ずる美意識でもある(すみません、この指摘は、ちくま新書『法隆寺の謎を解く』の終章、「日本文化の原点に向かって」のなかでで武澤秀一さんがいっていることの引用です)。
西洋化とのあいだでゆれた明治時代、これほどまでに東洋、日本の文化価値を知りぬき、そして主張した真の国際人の声に、まずは謙虚に耳を傾けたい。

■  お茶の魅力と格調高い英文
今、お茶は日本を越えて新しい宇宙的分野、世界へと広がっています。お茶は命、心を満たすものです。平和と優雅、美と芸術、日常と無限。あらゆる範疇を含む広大な世界を生み出します。天心は、お茶の魅力を世界に威厳をもって高らかにうたい上げました。天心の心を私たちは畏敬の念をもって仰ぎます。これからは新しい天心が活躍する時代だと思います。

■  これは、この人しか書けない・・・
日本、中国、韓国、インドの文化の精髄をすべて理解し、それを英語でどう表現するかを知り尽くした著者でこその名著です。
ただの「茶の本」だと思わないでください。茶の中には、思想、文明、歴史、あらゆるものが詰まっています。
それにしても、著者の着眼点、英語のセンス、表現力はものすごい。読み進むたびに目から鱗が落ちます。
「そうか、こう言えばいいんだ・・・」「これが歴史の肝なんだ・・・」などと、(日本語で)独り言をつぶやきながら、一気に読んでしまいました。

■  日本における「生の術」 決定版!
「武士道」、つまり我々の「死の術」について論評が多く行われているのに対し、
我々の「生の術」こと「茶道」については、ほとんど注意が払われていない。
 天心は、このような趣旨の文章を書いています。

 この本は、中国からの茶の伝来から、茶道と禅の関係を説明し、
それから茶道には欠かせない茶碗、茶室、花などについて述べてあります。
 前半は、歴史や道教・禅の思想など、なかなか素人には難しいのですが、
一字一句を、しっかり読み、できるだけ内容を理解するように努めると、
後半での茶室や花など、具体的な日本の「生」を、より深く理解できます。

 この本は、茶道の中で大切にされる思想、
すなわち、「一期一会」、「和」、茶室での平等→「慈愛」など、
古来、日本人が大切にしてきたものを、再確認させてくれます。
 

 本書は、左ページ・日本語、右ページ・英語(原文)で構成されているので、
そもそもの「茶の本」の趣旨を、最も汲み取りやすい形で読めます。
 また、千宗室(現・千玄室)氏によって書かれている序文・跋文は、
おそらく、このレビューを読んでる皆さんにとって、
たいへん興味深いものであると思います。

 「茶の本」は、いろんな出版社から本が出てますが、
本当に「茶の本」を読みたいのであれば、
自信を持って、この「講談社インターナショナル」版をお薦めします。


 
 
 
 
  
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