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 風の邦、星の渚―レーズスフェント興亡記
風の邦、星の渚―レーズスフェント興亡記
 
¥ 1,785
発売日:2008-10
角川春樹事務所
オススメ度:
通常2〜4週間以内に発送
 


 
内容紹介 
     【イラスト:村田蓮爾】       父親と対立して、辺境に追いやられた若き騎士ルドガーは、赴任した領地でカエサルと古代ローマを知っているという、不思議な街の守護精霊「レーズ」と出会う。実は彼女の正体は遠い星の彼方からやって来た巨大な異星生命体の対外感覚器官だった。ともに故郷を亡くし、固陋なキリスト教の因習に反発する二人は、中世ヨーロッパの海に面した三角洲に、今までなかった街「レーズスフェント」を作り、帝国自由都市を目指す。だが、街が発展するにつれて辺境伯やハンザ同盟の怒りを買い、同じく異星生命体と接触を持ったデンマーク国王との戦いへとつながっていく……。はたしてレーズスフェントの未来は?俊英・小川一水が、初のハードカバーで描く歴史SF! (※画像をクリックすると拡大してご覧になれます)          小川一水氏からのメッセージ 
     【撮影:谷口雅彦】      小川一水です。昔から、巨大な強者と戦う懸命な弱者という構図の話を、多く 書いてきましたが、本作ではそういう図式を踏まえつつ、二つのカメラを駆使し てみました。ひとつのカメラは自分たちの村を持とうとする14世紀ドイツの人々 にぐっと近づき、もうひとつのカメラは大きく引いて、上空から中世を写してい ます。映像のところどころには、ちょっぴり奇妙な何者かの姿も写るでしょう。 お... 続きを読む


■  ぐいぐい引き込む作品
ひさしぶりに、長編を一気読みしました。

SF的要素をスパイスにした、街と人々の物語です。小川一水の長編では一番気に入りました。

■  素晴らしいの一言
小川一水初のハードカバーは、史実を基にした歴史ファンタジー。
自分は世界史に詳しくないので、この物語の世界がどれだけ史実に正確なのかはわかりませんが、そんなことはまったく気にならないくらい楽しめました。

魅力あるキャラクターたちが成長していくさまはもちろん、この物語の特色はやはり都市の成長にスポットライトがあてられているところ。
はじめは何もなかった都市が発展していくさまには、子供のようにわくわくさせられました。
その他にも、せつない恋模様や緊迫感ある戦闘シーン、未知の生命体との交流など、みどころは盛りだくさん。
ページは多いですが、中身が濃いために冗長さをまったく感じさせませんでした。

価格に見合った、もしくはそれ以上のものを提供してくれた、素晴らしい一冊です。

■  傭兵ピェールとレーズフェント
この作品を読んでいると佐藤賢一の「傭兵ピェール」を彷彿させるものがある。片や15世紀、百年戦争のフランス。このレーズフェントは14世紀の神聖ローマ帝国の辺境。と場所は違えど、雰囲気はよく似ている。また、主人公の背景。片や、伯爵家の私生児、片や、男爵家の異母兄弟の三男と背景やラストのあたりまでが同じような立場となっている。更にピエールには勝利の女神がおり、レーズフェントには泉の妖精が味方をする。異なる点を上げるとレーズフェントにはファンタジー的SF要素があり、ピエールはビターな大人のファンタジーという趣であろうか。兎にも角にも、ピエール以来の読み応えのある中世の物語で嬉しくなりました。レーズが気に入った方は、佐藤賢一の「傭兵ピェール」や「双頭の鷲」をお読みいただくことをお勧めします。別な舞台で、この感動をもう一度味わえます。レーズは、小川作品の中では、自分的に「復活の地」「砂の王」「導きの星(4巻のみ)」に匹敵する代表作となると感じています。

■  国破れて山河在り。残った何かは誰かに受け継がれていく
 神聖ローマ帝国の時代。騎士ルドガーは父に疎まれ、所領の辺境へ徴税役として流される。そこで彼はレーズと名乗る人外の力を振るう女に出会う。千年以上も生きる彼女が願うことはただ一つ。その場所に帝政ローマの時代の繁栄を取り戻すこと。ルドガー達の街興しの戦いが始まった。
 系統的には、「導きの星」「時砂の王」のように、超越者が現地人を導いて行く、というお話。前述の物語との違いを挙げるならば、超越者視点ではなく、現地人視点で描き続けることによって、SF色が極めて薄まっていることだろうか。ほとんど、中世ヨーロッパの仮想歴史物と言っても良い。

 何作か前から思っていたことだが、以前と比べて作風が少し変わってきているような気がする。以前は、やたらと元気でテッキーな女の子が縦横無尽に走り回るという、キャラ中心で、それに技術的な要素を付け加えるという感じだった。しかし、最近は、人間自身よりも、人間が作り上げる何かが中心になっている気がする。一言で言ってしまえば、その何かとは歴史なのだろう。
 「導きの星」「時砂の王」では生命体の歴史という大きなものを描こうとしていたように見えるし、「妙なる技の乙女たち」では宇宙時代の幕開けという歴史を描こうとしていたように思える。技術好きが高じて、技術が生まれた背景に目が向くようになったのかもしれない。不遜な言い方だが、幅が広くなったように思う。

 本作、興亡記と銘打っているが、レーズスフェントの勃興について描いたのみで、衰亡には全く話が及んでいない。ひょっとすると、続編があるのかも。でも、その際には文庫で出版して欲しいな。

 
 
 
 
  
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