| 文化人類学的フィールドワークは習うより慣れろというのが合い言葉であるが、そこを曲げて、なんとか道に迷う回数を減らそうとした本。もともとは東京大での講義ノートだったという。 この由来は本書を極めて良質の教科書としている。無論フィールドワークはやってみるしかないものなのだが、あらかじめフィールドワークの展開に沿って発生するさまざまな事象を類型化して解説しているため、いきなり予期せぬイベントにぶち当たって右往左往する危険性を低下させてくれるだろう。言ってみればテレビゲームの攻略本のようなものである。攻略本で仕入れた知識は実践とは別物であるが(でなければソフト本体は不要ではないか)、効率的なソフト攻略の友にはなってくれる。古き良き時代とは違い、一瞬の停滞も許されず業績を量産しなければならない若手研究者にとっては本書は福音以外の何ものでもない。 カルスタからの批判(というのが一時期文化人類学に激烈に浴びせられたのだ。詳しくは太田好信氏の著作を読もう)にも配慮し、その方面から研究成果を守る為のガードの方法にも触れられている。これを勉強しておかないと、総合格闘技に予習なしでチャレンジしたプロレスラーのような目にあうので、ここは大事である。では、健闘を祈る。 |