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| | | はじめて考えるときのように―「わかる」ための哲学的道案内 (PHP文庫) |
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頭の中の思考回路をやわらかく解きほぐしてもらった気持ち |
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| 「考える」って、どういうことなのか。普段、なんということなく通りすぎてしまっている街の風景、建物や店のことなどを、立ち止まって教えてもらったみたいな感じ。自分のなかのもうひとりの自分に語るかけるようにして、「考える」ことの本質を見、探り、考えていく著者の文章に、頭の中の思考回路をやわらかく解きほぐしてもらった気持ちになりました。
著者の文章の脇に置かれていたのが、植田 真(うえだ まこと)による風景のイラスト。文章と直接のつながりはありませんが、いい意味で、気晴らしというか、息抜きさせてくれる雰囲気がありました。なくても困らないけれど、あったほうが気分がやわらかくなる、そんな絵の数々と言ってもいいかな。
【「考える」って何をすることだろう】【問いのかたち】【論理的に考えるだって?】【ことばがなければ考えられない】【見えない枠】【自分の頭で考える?】の、大きく6つの章で構成された一冊。
なかでも、「夜空はなぜ暗いのか」を見ていく話と、「R2D1」ほかのロボットの悲劇を語るエピソードが、とても興味深かった。特に後者、ロボットにある行動をとらせるためにはどこまで教えておかなければならないか、ということを語る件りには、先日読んだ井上夢人の短篇「ジェイとアイとJI」(『あわせ鏡に飛び込んで』所収)に通じる面白さがありましたね。翻って、人間の脳の思考回路(?)って、時々刻々、なにげに凄いことをやっているんだなあと。
頭の中の凝りをほぐしたい、気分転換に脳のラジオ体操(?)をしてみたい、そんな方におすすめの文庫本。知ったかぶりをしたり、妙に偉ぶった態度をとったりせずに、読者と対等の目線で語っていく著者の文章がいいですね。そこに好感を持ちましたし、さくさく読んでいくことができました。 |
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わかりやすい文体につまったメッセージ |
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| 考える、とはどのようなことか。それを、言語の観点から言葉を尽くして説明しようとした本。小学生にも読めるのではないかというわかりやすい文体に対し、内容は哲学的。哲学的ではあるけれど、何かを伝えたいという筆者の気持ちが伝わってくる。精緻な哲学書とは違い、筆者の遊び心が見え隠れするところに、本書の最大の良さがあると思う。 |
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想像力のために |
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| 日ごろ私たちが口にする「考える」という言葉。しかしなぜ、私たちのほとんどは「考える」ということが、いったいどういうことなのかを自分の言葉でうまく説明することができないのに、他人には「ちょっと考えて」「よく考えろ」などと言うのでしょう。
この本にその答えは書いていません。かと言って、「なあんだ」と思わないでください。確かに答えはありません。しかし、この本にはその「ヒント」がいくつも隠されています。それを読み手は自分の力で見つけなければならない。
しかし、ここでちょっと頭をひねっていただきたい。いま私が書いた、「自分の力で見つけ」る、あるいは、「頭をひね」る、これを私たちを普段、どういう動詞で言い換えているでしょうか?
この本に書かれている内容は、だいたいこのようなものなのです。
野矢さんの東大教授らしからぬほどのやわらかい語り口、ヴィトゲンシュタイン(難解な哲学者です。名前からして)の研究者とは思えないほどの気楽なユーモア、そして、植田さんの本編とは一見、関わりがないような、あたたかな線から成る絵。絵と文はまったく関係していないように見える。けれど、ちょっと手を止めてみると、しだいに関係してるように見えてくるのではないか。
答えを用意しないこの本を読むことは、さながら目的もなく道を散歩するようなものです。それはそのまま哲学に通じるものと感じます。
近年、衰微がたびたび指摘される「想像力」を養ってくれるには、最高の書です。この本を一冊読んでも、力はおそらくまったくつかない。しかし、この本と他の本、あるいは自身の実体験を「つなげる」ことによって、とても意義ある経験を得られるはずです。
私は本書を大人はもちろん、子供にも読んでみて欲しい。あるいは、親子両方で読んで、感想を語り合うというのもいいものではないでしょうか。 |
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