| 戦国時代には数々の名将が輩出される。織田信長・豊臣秀吉・徳川家康・明智光秀・伊達政宗。名を挙げていけばきりがない。彼らは皆有力大名であり、武勲を揚げて出世していく。しかし、本書の主人公・真田幸村は有力な大名の出身とは言い難く、上記した武将たちとは一線を画す。 ではなぜ幸村は人気を博すようになったのか。その答えを導くには幸村の最期を見ればいいだろう。時の権力者・徳川家康と秀吉の後継者・秀頼とが対峙する大阪の陣。徳川の軍勢約20万に対し豊臣方約10万。明らかに豊臣の劣勢は目に見えている。そんな時家康は持ち前の交渉術で幸村を自陣に取り込もうとする。しかし、徳川の使者に対する幸村の返答は次のようなものであった。 「信州一国はおろか、日本国中の半分をいただけるとしても、私の気持ちは変わりません。また、この戦は勝利を得られる戦ではありませんので、私ははじめから討ち死にを覚悟しています。もう二度とおいでになりませんように」 そう、彼の人気の裏には「忠義」という言葉が隠されているのだ。最期まで彼は豊臣に忠義を尽くし46年の生涯を閉じる。確かにそのような歴史上の英雄は他にもいる。古くは源頼朝に忠誠を誓った、源義経。幕末では「誠」を掲げ徳川に信義を尽くした、新撰組。いずれも「情」や「義」を非常に重んじた偉大なる人物たちだ。 本書はそんな彼の生涯をコンパクトに収めた幸村入門書である。本書には高度な専門用語などは見られず、どんな読者層にも通ずるであろう。史実と虚構とが判りやすく区別されて描かれている点も良い。混乱せずに読み進めていくことが出来るはずである。とにかく幸村の一生を知るには打って付けの一書だ。 |