| 前世紀後半に成立した知の文脈は、ニーチェの哲学に真っ正面から取り組まなくてもよい形になっており(@そこが、わたくしをして「不毛感」を抱かせる最大の原因なのですが)、現在ニーチェの哲学に真っ正面から取り組んでいる人々はわたくしの知る限り在野にしかいないのですが、佐伯先生だけは例外で、現在、京都大学で教鞭をとっていらっしゃいます. 佐伯先生は、ニーチェの哲学に、真っ正面から取り組んでいらっしゃると思います. わたくしの知る限り、ニーチェの哲学を否定するのは(頭のいい人には)実にやさしいことのようですが、佐伯先生がおっしゃいますように、ニーチェの提出した問題(ニヒリズムの問題)に取り組み、それを乗り越えることは、どんなに頭のいい人にも、非常に難しいことです. 特にいま、この国で、ニーチェの哲学に取り組むことは、非常に難しいことになっているとわたくしは思います. それと申しますのも、現代は、あまりにも経済の問題(グローバリズムの問題)が強すぎ、それを棚に上げておくということができませんので、哲学だけではなく、同時に経済や、政治についても語らねばならないのですが、そうした「量」の問題のみならず、我が国には、戦後日本の独特の思考土壌というものがあるからです. これをご覧くださっている読者さんのなかには、ひょっとしたら、ニヒリズムを乗り越える手だてを考えつくことのできるかたもいらっしゃるかもしれません. 本日ご紹介いたしました本は、ご思考の一助になるかと存じます. |