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 よいリストラ悪いリストラ―「所得格差の国」アメリカの活力 (日経ビジネス人文庫)
よいリストラ悪いリストラ―「所得格差の国」アメリカの活力 (日経ビジネス人文庫)
 
¥ 580
発売日:2001-03
日本経済新聞社
オススメ度:
 


 


■  アメリカ型社会で幸せな人とは?
本書は、タイトルと異なり、リストラについてはあまり触れられていない。そういう意味ではミスリーディングなタイトルであり、表紙のデザインも含めて「金持ち父さん貧乏父さん」の趣味の悪い模倣に見え、損しているように思われる。本書は、アメリカの所得分布を経時的に分析し、富めるものはますます富みそうでないものは成長する経済の恩恵に全く触れることができないアメリカの社会を描写し、それがどのような要因によってもたらされるのか分析(ちなみに、本書のタイトルに用いられている「リストラ」はこの一要因に過ぎない。)し、日本のあり方を論ずる本である。

日本の改革論議などを聞いていると、アメリカ型の流動的かつ実力主義的な社会を礼賛し、日本はそうじゃないから駄目なんだという議!論をよく聞く。学歴が低く単純業務に従事している人からこういう議論を聞くことも多く、アメリカに住んだことがある身としてびっくりさせられることがある。実際には、アメリカで富んでいる人というのは高学歴の専門職であることが多く、日本より学校歴と給与の相関関係が高いばかりか、これらの人の職はさほど流動的ではないかまたは流動性の対価として極端に高い給料を得ている。日本で聞く議論は、話し手にとって都合がいいところだけつまみ食いした安直な議論が目立ち、聞くに堪えない場合が多い。

本書は、そういう安直な誤解を解くのによい本である。具体的な統計をもとにさまざまな議論を紹介しつつ、全体的なアメリカの所得構成について分かりやすく説明する。その現状分析において一読の価値がある本!であるが、翻って日本の現状と処方箋に関する記述(本書第8章)は、現状分析と処方箋が対応しておらず内容として多少薄いところがあるのは否めない。そういう意味では、アメリカの現状の勉強と、アメリカに学べとばかり軽薄な議論を垂れ流す人々へのアンチテーゼとして読むことが適当な本であると思われる。


■  アメリカ経済の陰である所得格差を論じた本
 題名に「リストラ」とついているものの、本書の主題は所得格差の功罪についてである。アメリカはここ10年、インフレ無き経済成長を実現し、ここ25年間で実質GDPは2倍以上、一人当たりのGDPは約7割増大し、多くの億万長者を輩出してきた。一方中産階級の人々(中位所得者)の所得をみるとわずか1割の伸びに留まっており、特に白人中産階級の人々は横ばいどころか減少している事実がある。筆者はその原因を様々なデータから検証し、アメリカビジネス帝国の繁栄の陰にある「社会の歪」とその背景をわかり易く解説してくれている。経済知識がある程度なければ理解しにくい箇所があるものの、様々な観点から幅広く分析されており、若いビジネスマンは是非一度読んでいただきたい

 
 
 
 
  
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