届いたとたんに「あちゃー」と思ってしまう本がある。 横文字の羅列と4つ5つのパラグラフがごちゃまぜになった文章は実に読みにくい。あなたが将来学者になるつもりならばおおいに参考になるだろう。実務、特に新製品を開発する、と言う目的には沿わない。 まえがきから。「米国のビジネススクールにさえ、製品開発を必須の科目として教えているところはほとんどありません」 その理由として、製品開発の複雑性を挙げ、知識体系がないからだとする。この時点ですでに外している。 ものづくりの神様、西堀栄三郎氏は、「西堀流新製品開発−忍術もええで」の冒頭で次のように書いている。 「新製品開発そのものの持っていき具合は、決して普遍妥当性のある科学的なものではない」 つまり、製品開発は学校で教えられるような知識=学問ではないのである。 著者は製品開発に携わった経験がないのだろう。マツダにいたらしいが、逆算すれば5年程度。開発組織全体に言及できるほどの経験はない。 このことは、三次元CADに関して述べた部分でもわかる。設計者の作った三次元モデルは、そのままNCのための数値データに置き換えられない。機械設計者の間では常識である。 本書は、ビジネススクールで教えられる程度の知識で出来ているのだろう。 組織論なら、カルロス・ゴーン氏の「ルネサンス」の方がよりためになる。氏は、フランス国立理工科学校の出身。経営手腕は全て現場で磨かれたものである。 前出の西堀氏の著著にも、組織に関して言及した部分がいくつかある。本書が5ページを裂いて説明しているプロジェクト組織の権限について1ページで簡潔に説明してあるので、この点でも西堀博士の本の方が優れている。 |