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 「陰」と「陽」の経済学―我々はどのような不況と戦ってきたのか
「陰」と「陽」の経済学―我々はどのような不況と戦ってきたのか
 
¥ 1,890
発売日:2006-12
東洋経済新報社
オススメ度:
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■  2007年度最高の一冊
「陰」と「陽」、これは企業の資金需要がない経済世界、資金需要がある経済世界のことで、前著に続いてクーの読者ならばあっさり理解できる構図だ。経済学が初めての方でもじっくり読み勧めれば十分に理解できる非常にシンプルな構図だと思う。

さて今回もクーはバブル崩壊後の日本経済においていかに資金需要が喪失していたかを社債残高、外銀貸出、貸出金利も含めてあらゆるマクロ統計から炙り出し、読者を説得する。しかし従来と違う点がある。それは主張するバランスシート不況をアメリカの30年代に適応し、バーナンキのように金融緩和を十分にやれば大丈夫だという平和ボケを正すものとなっている。つまりフリードマン=シュワルツ、テミン=ローマー、バーナンキらの見解が統計データや当時の現場の声などによって徹底的に批判されており、いかに財政政策によって30年代は保ったか圧倒的な論証で読者は完璧に説得されるだろう。この第3章は経済学徒にとって極めて重要な論文であり、本書のハイライトでもある。(またフィッシャーの借金デフレとの違いなどもしっかり指摘されている)

第6章では貞廣著「戦後日本のマクロ経済分析」や白川方明氏の近著よってほぼ効果がなかったことが結論付けられている金融緩和重視(インタゲだのなんだのアメリカ人に乗っかった「思考の節約家たち」の妄想)の量的緩和政策、つまり円安で回復するという主張が批判される。マネー関連指標(p45)においてでも量的緩和の無残さが克明と描かれている。主張した人々とは若田部、田中、岩田規久男あたりだ。彼らは「専門知の経由が必要だ」というが、その前にまず「人格を陶冶して教養を経由しろ」といいたい。(クーは彼らと対立しようとしてないが)

本書は30年代のアメリカ、90年代の日本が徹底的に分かりやすく分析されている。学生や経営者、一般読者に関わらず非常にお勧めできる。本当に価値ある一冊です。

■  財政政策はいいけれど
バブル崩壊後の日本経済の状態を解説している本。
確かに金融政策で経済が立ち直らない理由は、なるほどと納得させられる。
しかし一方で、財政政策による有効需要創出を主張する場面では、
財政政策の中身について触れられておらず、国家予算の資金配分についてまでの
考察が行き届いていない。
有効需要の波及係数まで分析し、予算の投下先業種の絞込みまでは期待したかったところだ。

■  日本経済に関心のある方にとって必読の本
経済政策に関係している政治家やジャーナリストの方々に広く読んで頂きたい.バブル崩壊以降の過去の経済政策の総括をしており,橋本内閣による早過ぎた構造改革,小泉竹中財政政策による危機(竹中ショック),無意味だった日銀量的緩和,および諸経済学説の誤りが説得力をもって語られています.漸く企業の借金返済が終わり転換期にある日本経済を鳥瞰する上で,長かった不況の意味を正しく理解することが不可欠であり,この本を読めば日本経済に自信を持てるようになります.普通の経済学者の説は理念から現実を仕切ろうとするので疑問が多々起き,「竹中先生の話は聞けば聞くほど解らなくなる」(某自民党議員)のようになるが.クー氏の説は,逆に現実に起きている経済現象のデータから説き起こしているので極めて解りやすいのが特徴です.真理は解りやすい中にこそある好例.

■  条件付きで★5つ
クー氏の前著「デフレとバランスシート不況の経済学」の続編的な内容です。この本を読んでいる方にとっては得るものは少ないかも知れません。しかし、クー氏の説明はくどいほど丁寧であり、経済学の門外漢の方でも腰を据えて読めば、ぐっと知識がつくいい本です。

 
 
 
 
  
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