37日ものあいだたった一人で海を漂流した、武智さんのはなし。 著者が察するとおり、読者である私は彼の存在を忘れていました。 毎日流れてくるニュースに揉まれて、記憶のかなたへと行っていました。 ああ、そういうこともあったなと。37日間も生き延びた!!というセンセーショナルな事実は 漂流した結果。 初め積んでいた食料や水を飲み食いして過ごしていたが、 なくなると、魚を釣ったり、海水を沸かして蓋についた水を舐め、 最後には自分の尿を飲んだ。 という一文の行間にあるものを埋めています。 吉岡氏の飾らない豊かな表現力で武智さんの人格や、漂流中の 様子が伝わってきます。 水があると思うと、食料があると思うと色々考えてしまうから、 思い切って飲み干した、思い切って釣った魚を捨てた。 という件は、何かわかるような気がした。 この本を読んで、自分が知っているつもりになっていることが 何と多いのだろうかと改めて思う。 |