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 夜這いの民俗学・夜這いの性愛論
夜這いの民俗学・夜這いの性愛論
 
¥ 1,260
発売日:2004-06-10
筑摩書房
オススメ度:
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■  語り部の名調子
コツとアジワイがあるという。前者が技能練磨的であるならば、後者はそれに人格的熟成が加えられものだ本文中に定義されている。文章にもアジワイがあり、赤松の名調子のアジワイは他の追随を許さない。
関西弁で、あけすけにずけずけと語る名調子。古い地名や歴史的名詞、隠語、方言などに戸惑うが、歴史的なワイ談の集大成として魅力的な一冊である。
『夜這いの民俗学』は主に播磨あたりの山村を舞台としており、『夜這いの性愛論』は大阪の町を舞台にする。
今は失われた庶民の生活の資料として非常に面白い。多少の誇張や偏向はあったとしても、それを確かめる術は既にない。なにしろ、著者の体験に基づく記述であり、同じ時代を生きた人は、既に鬼籍に入っていることと思われる。
商家の中の生活空間や、人員構成、階層比較など、性以外の面での描写も、具体的で説得力があり、包括的で新鮮である。なにより、人々への愛情が溢れている気がする。
更に、柳田民俗学への批判は舌鋒鋭い。戦時下の学問のありようを問う点で、学問が政治の手先になるなかれと、他領域の研究者も傾聴に値する警句が含まれている。

■  夜這いにも合理的な理由が
著者は学者としては明らかに傍流、というかアウトサイダーといえるのでは。本書の内容は勿論、著者の人生にも興味を持った。

夜這いに限らず、明治後期〜大正〜昭和初期頃までの共同体の風俗や風習は、生活に根ざしたものだったことがわかる。爺さんのエロ話が聞きたいという興味本位で読んでも良し。または「当時の農村の生活・風俗を知りたい」という硬派の人(そんな人いるかな?)にもお薦めの1冊。

ただ、元ネタ2冊の合本なので内容的にはかなりダブるし、文庫本にしては価格も高い。

■  体験的「夜這い」民俗学
 この内容は決して空想物語ではなく、著者が自ら体験した夜這いの実態を書いているので、真に迫っています。しかし、語り口調がどこか牧歌的な雰囲気を持っているので、おっとりと読んでしまいました。
おそらくは著者の記憶の中で誇大に表現している部分もあるでしょうが、多分(としかいえないが)大方の実体を把握しているのではないでしょうか。
特に「柿木はありますか?」から始まる後家や主婦たちによる「筆おろし」の箇所は読んでいて引き込まれほど艶かしいものがあります。なんというか、ほのぼのとした大らかな世界が、つい数十年前まで日本の特に農村部に風習として残っていたのかと驚きをもって読みました。

考えてみれば、『万葉集』においても16巻などでは、男女がそれぞれのあそこを題材に歌を詠んだりするなど、大胆豪放な世界が上代でも見られたことから、もしかしたら、実は日本人は昔から性にたいしては大らかで、それを現代の私たちも遺伝子の中に引き継いでいるのではないかと思いました。

「夜這い」の結果妊娠した場合の掟も、村落共同体を守るということが根底にあると思います。
民俗学者が触れなかった部分を実体験に基づいて書いているところにこの本のよさがあると思います。


 
 
 
 
  
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