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 忠誠と反逆―転形期日本の精神史的位相 (ちくま学芸文庫)
忠誠と反逆―転形期日本の精神史的位相 (ちくま学芸文庫)
 
¥ 1,470
発売日:1998-02
筑摩書房
オススメ度:
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■  丸山は何を問うていたのか
表題ともなっている「忠誠と反逆」をはじめ、「歴史意識の『古層』」といった有名な論文を収録した丸山真男の論文集であるが、いちばん最後に収録されている「思想史の考え方について」を読み通して初めて、何か腑に落ちた感を覚えた。川崎修の解説にあるように、この本が「最も丸山真男らしい丸山真男が現れている」ものであるとするならば、丸山が問い続けていたのは、「自分」から導き出され、「自分」に還っていく、そのような問題系ではなかったか。

「近代啓蒙主義者」と形容されるのも故なしとはできない丸山ではあるが、西洋近代的な理性や合理性、あるいは中国的な思考様式をもってしては括りこめない何か、よくわからないが確かに感じる何かへの探求こそ、ここに収録された諸論考に丸山を導いたのではなかったか。自らの外を取り巻き、内を満たし、それなしでは考えることも自分であることすらもできない「何か」。

この「何か」への問いへのこだわりが、見方によっては「日本嫌い」とされたり「ナショナリスティック」とされたりするのだろう。だが、丸山が垣間見せるような、頭で考えるほどには思うようにならぬ自らに対する苛立ちや、気がつけば親先祖の代から自らへと受け継がれている「伝統」への気付きと無縁でいられる人間が、いったいどこにいると言うのか。

そのような観点から評者は、丸山の日本思想史への思い入れや「古層」へのこだわりを理解する(むろんこれは評者の勝手な解釈に過ぎない)。個人的には、「他人事としての研究」よりも「我が事としての研究」にシンパシーを感じる質なので、読み始める前に比べれば、丸山への好感度は明らかに高まった。

■  リアリストとしての丸山眞男の一面が見られる作品
『忠誠と反逆』は、幕末期〜明治期にかけての論文集であるが、特に「忠誠と反逆」は、幕末期に忠誠の対象を失ったように見える敗者(幕臣)が明治期になってもその野性を失わず抵抗の精神を持ち続けながら生き続ける様子。「開国」では、徳川幕府を「絶対主義体制」ではなく、戦国期の「割拠制」をそのまま凍結させたもの、と解釈する著者のリアリティーのある文章は一読する価値あり。学術書だけでなく文学作品としても面白い作品。

 
 
 
 
  
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