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| | | マニエリスム芸術論 (ちくま学芸文庫) |
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マニエリスムの再評価 |
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| 日本人によって書かれた殆ど唯一のマニエリスムに関する本格的な論述であり、ルネサンスとバロックの狭間に咲いたあだ花のように蔑視されてきた芸術が開花した歴史的背景とその再評価が若桑氏の深い洞察と広範囲に渡る研究によって明らかにされていく。プラトンによって唱えられた現世における人間の姿、つまり肉体という牢獄に閉じ込められた精神の苦悶とそこから解き放たれる自由への渇望をこの危機の時代にミケランジェロは身を持って体験し、それを自分の作品に具現化させようと試みた。それはもはや現実的な実態とはかけ離れた精神的な実在に迫る表現であり、ルネサンスの物理的に精緻な物差しを使って彼の作品を計り、理解しようとすることは無謀だろう。更にブロンズィーノに至ってはミケランジェロの三次元的な形態は受け継がれたものの、その精神は寓意によってすり替えられた。彼は自分の作品を病的なまでに寓意で満たし、後の時代の人々が解読不可能になるほどの技巧を凝らせた。一方パルミジャニーノは既成の空間を反故にして見る者の視線から焦点を逸らし、なかば強制的に思考の迂回を図った。そうした方法がヴァサーリの言うマニエーラ、つまり作品の背後にある作者の思索を感知させる手段として追求されたのがこの時代の芸術だろう。そうした意味で本書はミケランジェロとその時代を画したアーチスト達の作品を理解するうえで非常に有益な示唆を与えてくれる。また後半部に置かれたマニエリスト達の作品の宝庫、フランチェスコ・デイ・メディチのストゥディオーロについての詳述も圧巻だ。 |
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説得力がある |
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| 西洋美術史の「影」ともいえる「マニエリスム期」を鋭い視点で研究している。マニエリスムを「危機の時代の芸術」と説く筆者の論には説得力がある。著者はフェミニズムの視点で芸術論を展開する美術史学の重鎮。 |
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