HOME   |   ベルメゾン   |   セシール   |  
 
書 籍 C D DVD ゲームソフト エレクトロニクス ソフトウェア ホーム&キッチン ホ ビ ー
 
日本の風景・西欧の景観―そして造景の時代 (講談社現代新書) 
空間の日本文化 (ちくま学芸文庫) 
風土―人間学的考察 (岩波文庫) 
空間の経験―身体から都市へ (ちくま学芸文庫) 
場所の現象学―没場所性を越えて (ちくま学芸文庫) 

  
 
 風土の日本―自然と文化の通態 (ちくま学芸文庫)
風土の日本―自然と文化の通態 (ちくま学芸文庫)
 
¥ 1,365
発売日:1992-09
筑摩書房
オススメ度:
通常24時間以内に発送
 


 


■  気分を学術的に書くととんでもなく複雑という見本
こういう本が、これからも読まれるような、そんな幸福な時代を期待したい。私たちの自明のものとしての景観を、学者がその頭脳と歴史的・文化的文脈でもって必死に記述するという、まさに知的労働の見本です。ここまでしても、故郷への思いや、そこから沸き起こる感情を記述できないのでしょう。これはもう、刷り込まれたDNAでしょう。だからこそ、学者は解明しようとして、気持ちはどんどん闇の中ということ。アカデミックな気分に浸れる一冊ですが、もう、読むだけでヘトヘトを覚悟してください。そんな体力勝負の本です。

■  この溢れるセンス
若き日を新宿区戸塚でくらした著者(1942年生)が、1986年にエディシオン・ガリマール社から上梓した上質の日本論『野生と人為(人工)』の邦訳。

「風土」、ミリュー(Milieu)、含蓄あるこの概念を、ベルクは「ある社会の、空間と自然に対する関係」と定義づけると同時に、他方「自然」という概念を、「人間によっても、人間のためにも、意味を持たないもの」、とスリリングに規定したうえで、季節と起伏に富む日本をめぐり、いかにもフランス人的な軽快感に溢れた学問的記述を紡いでいく。

歴史から捨象されたハイデガーの「現存在」を、いわば歴史化・自然化した和辻哲郎の見識、これを一定程度評価しつつも、さらにベルクは意欲的な筆致で、いわば出来の良い日本論にとどまった和辻の『風土』の一歩先を行こうとする。つまり、和辻の帰納論的・決定論的・人種差別的な視点に批判のメスを入れ、より客観化され一般化された理論の構築を試みる。

それが、「通態的風土学」なるものなのである。これを読者に問うのである。

文庫版解説は、坂部恵氏によるもの。
8ページ足らずの解説文の中に、4度も「ユニーク」という形容を使わざるをえなかった坂部氏の反応からもうかがいしれるように、あまりにも個性的で、評価の難しい本かもしれない。
しかし、それでも、坂部氏の言葉が正鵠を射ている――「難解と同時に再読、三読のたびにあらたな発見と読書のよろこびに恵まれるという、そうめったにはない魅力に充ちた書物」なのであった。


 
 
 
 
  
Copyright @2006 myminty.com, japan. All rights reserved.