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 優しい経済学―ゼロ成長を豊かに生きる (ちくま新書)
優しい経済学―ゼロ成長を豊かに生きる (ちくま新書)
 
¥ 714
発売日:2003-04
筑摩書房
オススメ度:
通常24時間以内に発送
 


 


■  経済学とは、限られた資源(天然資源、労働力、時間)を最も効率的に配分する学問である
 大学時代は、たまたま経済を学んでいました。確か、
「経済学概論」の一番最初の授業は、「経済学とは何か?」
というテーマだったと思います。その答えは、「限られた資
源(天然資源、労働力、時間)を最も効率的に配分する学問
である。」だったと記憶しております。

 さしたる志もなく、経済学科で勉強を始めましたが、この
テーマを学べただけでも、4年間大学に通った甲斐があったと
思っています。

 経済学とは、経世家(社会をよりよいものにしようとする
情熱を持ち、これを実践に移そうとする人)の学問であると、
アダム・スミスは述べています。

 経済とは財テクや金儲けではなく、この世の中をよりよく
していくものだと、学びました。


■  小泉構造改革は弱者切り捨て
「改革無くして成長無し」。もう嫌と言うほど小泉さんの口から聞かされてきました。小泉さんのいう改革は働いている人間を犠牲にする「構造改革」です。筆者は冒頭で哲学者の内山節氏の「未来のために現在を犠牲にするという発想からは、決して美しい未来は生まれてこない」というすばらしい言葉を紹介しています。

小泉さんの進める構造改革はこれまでの経済政策とは正反対を目指しています。筆者はこう言っています。各種の規制で政府が企業の活動を制約したのは自由なビジネスチャンスを企業から奪うためではなく、私的な利益だけを追求する企業活動の弊害から労働者の権利や市民の安全および自然や環境などを守るためでした。また、所得に対する累進的な税制も、一所懸命に努力する人の「やる気」を削ぐためではなく、極端な経済格差の拡大を防ぐとともに公共サービスの提供に必要な財源を確保することが目的でした。と。

効率性という市場の尺度だけで「民間に出来ることは民間に任せる」というあまりにも短絡的な構造改革の方針を筆者は厳しく批判しています。

その場その場での効率性を追求する代償として長期的な安心や安定を犠牲にする民間企業に何でもかんでも任せてしまおうとする小泉内閣の姿勢には私も疑問を感じざるをえません。最近、一番驚いたというか、開いた口がふさがらなくなってしまったのは、労災保険を民営化しようとする意見です。これには本当にたまげました。効率性第一の民間企業に労災保険を任せてしまおうなんて、政府の考えることではありません。

暖かみの全く感じられない構造改革。冷酷に弱者を切り捨て、強者を保護する構造改革。自分は安全地帯にいて(首相の給与を引き上げようなんてとんでもない意見があるようですね)弱者には痛みを強要する小泉さん。せんだって、中堅の建設会社が倒産したときなど小泉さんは「改革が進んでいる証拠だ」なんて胸を張っていました。そこには倒産した会社を去る人たちに対する優しいまなざしや暖かみなんてみじんも感じられませんでした。酷薄な小泉さんの正体をみてぞっとしたのを覚えています。

筆者は暖かいまなざしで経済を説いています。成長しなくても豊かな生活が出来るんです。私は経済の本を読んで感動したのは初めてです。是非多くの人に読んで貰いたい本です。


■  目からウロコが落ちる思いでした
 経済学というと、とかく頭がいいと自認する人が、一般の読者には無縁の専門用語やら知識をひけらかす自己満足かと思っていましたが、さにあらず。経済について全くのド素人でも、わかりやすく平易に説明されていました。同時に「構造改革」がなぜ必要なのか、構造改革とは何なのか、時代背景と時代の流れを丁寧に検証し、また、現状で直面している課題について、わかりやすく説明がなされていて、目からウロコが落ちる思いでした。ともすると小泉内閣が提唱する構造改革路線こそ絶対唯一で、その内容やビジョンがどんなものか具体的に説明されず、それに反対するものは「抵抗勢力」として排除されるような乱暴な空気が支配している昨今、卓越した一冊だと思います。 

■  わかりやすいんだけど、ちょっと物足りない
 過去の経済政策への評価と、現在の経済状況の分析は、とてもわかりやすく、経済に詳しくない私にも理解できるものでした。
そして、この本の論証は、もともと格差より平等を追い求めている人には納得のいくものかもしれません。

 しかし、本当に「優しい経済学」を説かねばならない人、つまり平等がまったく頭にない人、具体的に言うと、弱者を切り捨ててでも自分の豊かさを追求し、金銭によってしか自己の仕事を評価しようとしない(負担が重くなると労働意欲を失ってしまう?!)富裕層から中間層に対して、それではいけないと説得するまでには至っていません。

 また、そこを除いても一番肝心な点である、ゼロ成長下における具体的経済状況、社会状況のモデルは、富裕層や中間層の負担を増やし貧困!層など困っている人たちに分配するという以外、まったく描かれていないのも、かなり物足りなく感じました。
 要するに、この本の「先が知りたい」と思わせる本です。


■  正論だし読みやすいと思います
この本は、「金持ち父さん」シリーズとは正反対の内容ですが、確かにその通りだなあと思えるし、読みやすく「新書」としてはお手ごろだと思います。

 
 
 
 
  
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