| 「改革無くして成長無し」。もう嫌と言うほど小泉さんの口から聞かされてきました。小泉さんのいう改革は働いている人間を犠牲にする「構造改革」です。筆者は冒頭で哲学者の内山節氏の「未来のために現在を犠牲にするという発想からは、決して美しい未来は生まれてこない」というすばらしい言葉を紹介しています。 小泉さんの進める構造改革はこれまでの経済政策とは正反対を目指しています。筆者はこう言っています。各種の規制で政府が企業の活動を制約したのは自由なビジネスチャンスを企業から奪うためではなく、私的な利益だけを追求する企業活動の弊害から労働者の権利や市民の安全および自然や環境などを守るためでした。また、所得に対する累進的な税制も、一所懸命に努力する人の「やる気」を削ぐためではなく、極端な経済格差の拡大を防ぐとともに公共サービスの提供に必要な財源を確保することが目的でした。と。 効率性という市場の尺度だけで「民間に出来ることは民間に任せる」というあまりにも短絡的な構造改革の方針を筆者は厳しく批判しています。 その場その場での効率性を追求する代償として長期的な安心や安定を犠牲にする民間企業に何でもかんでも任せてしまおうとする小泉内閣の姿勢には私も疑問を感じざるをえません。最近、一番驚いたというか、開いた口がふさがらなくなってしまったのは、労災保険を民営化しようとする意見です。これには本当にたまげました。効率性第一の民間企業に労災保険を任せてしまおうなんて、政府の考えることではありません。 暖かみの全く感じられない構造改革。冷酷に弱者を切り捨て、強者を保護する構造改革。自分は安全地帯にいて(首相の給与を引き上げようなんてとんでもない意見があるようですね)弱者には痛みを強要する小泉さん。せんだって、中堅の建設会社が倒産したときなど小泉さんは「改革が進んでいる証拠だ」なんて胸を張っていました。そこには倒産した会社を去る人たちに対する優しいまなざしや暖かみなんてみじんも感じられませんでした。酷薄な小泉さんの正体をみてぞっとしたのを覚えています。 筆者は暖かいまなざしで経済を説いています。成長しなくても豊かな生活が出来るんです。私は経済の本を読んで感動したのは初めてです。是非多くの人に読んで貰いたい本です。 |