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 組織戦略の考え方―企業経営の健全性のために (ちくま新書)
組織戦略の考え方―企業経営の健全性のために (ちくま新書)
 
¥ 735
発売日:2003-03
筑摩書房
オススメ度:
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■  途中からワイドショーのコメンテーター並みにレベルダウン
冒頭からフリーライダーの話くらいまでは参考になった。組織モデルに対する考察をもっと専門家らしく掘り下げて欲しかったが。
7章のトラとキツネの話あたりからは、本人が避けた(避けるとまでは言ってないかな?)はずだった「外側から見た評論」になっていて、いかにも企業組織に属したことのない人が、他人の苦労話や週刊誌ネタから想像を膨らませたに過ぎないものになってしまっていると感じた。特に、最後に「腐敗からの回復」として示した解決策は、カルロス・ゴーン氏のような経営者でも来ない限りほとんど不可能な理想論的内容で、TVワイドショーの無責任なオバちゃんコメンテーターが、「○○省を解体しろ」などといっているのと同じレベルに感じる。

7章から急に学説等の裏づけもほとんどなくなり、文章もリダンダントである。本書は雑誌連載の寄せ集めとのことだが、論説の帰結に困り、時間もなくなり、荒っぽくまとめてしまったのではないか。

「本書は啓蒙書」と言い訳するくらいなら雑誌連載のままにしておけばよかったのに。でも沼上は好きだし、応援したいので星3つ。

■  早くも古くなった論点
本書の帯には「さようなら、社内評論家!」とあるが(2003年初版)、いまや職場には評論家さえいなくなった感が強い。評論する意欲があるということは、それだけ会社に対する関心が深いことを意味する。
しかし、それぞれが孤立し、目先の仕事をこなすことや、あるいは自らの成果のみに腐心せざるを得ない状況では、下手に自分以外の領域に関心を持ったりすると、とんでもない荷物を背負い込むことになる。いやあるいは、単に変わり者と見られるのみだろうか。
本書での優れた分析の一つ「フリーライダー論」は、現状に鑑みるとそれ自体が全的に拡がっていると感じられる。2003年当時は、フリーライダーが生まれることが問題だったのだが、現在はすべての社員がフリーライダーであるため、そもそもフリーライダーという概念が意味を成さなくなってしまっているのだ。それは管理職や役員とて同じ布置にある。予想通り、会社という組織は腐ってきたのである。その原因は、明らかに成果主義にあるだろうし、雇用形態の自由化を謳う財界や経営者たちにもその責はあろう。そして、この問題は近年喧しい、偽装などの企業犯罪の温床にもなっていると思われる。
また、職場のストレス等を原因とした「うつ」やうつ病の蔓延は、真面目に責任を果たそうとする者を追い詰めた結果ではないのか。
著者沼上は、こうした事態に対して、新著を問うべきだ。
本書は2003年当時には好著だったが、現在の目から見ると違う視点も必要と思われる。

 
 
 
 
  
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