| 良くも悪くも“雑本”。“悪い”のは,専門家にとってとくにこれといって目を見張る新視点が盛り込まれているわけではないから。 重要なのは“良い”方だ。まず,国分氏が,単著・編著ともかなりの数を手がけた練達の研究者であること。つぎに,日本で手にとる家電製品の多くが“Made in China”であることに驚き,WTO加盟の門前に立つ中国に興味を抱いた(理系の?)非専門家の読書家になら,手っ取り早くていい点だろう(手っ取り早いのは新書の長所であるのと同時に短所でもある。そもそも,中国などというビッグテーマを200頁足らずで論じ尽くせるはずはなく,議論(論証)が荒いのもそのせいだろう)。 緒論(第1章「中国とはなにか」)−現状(第2章「中国の世界」(国内)と第3章「世界の中国」(国際))−課題(第4章「21世紀の中国」)と,構成も標準的で誠実。 最大の特色は,最近の走資的社会主義国家=中華人民共和国を“普通の国”として描き出そうとしていること(中国が第三世界に属することを公言しながら第三世界が組織する公式機関に殆ど参加していない事実などにみられる現実主義)。 著者が慶應大学大学院卒である点も興味深い。殆どの中国専門家が国立大学大学院卒だからだ(しかも左翼運動あがり)。しかしよく考えてみれば,慶應大学には中国学の碩学=石川忠雄がいた。あなどれない。 不満なのは統計数字が殆ど用いられていない点だが,著者が政治学専門であり(この本の結論も,「政治の全面的改革」であった),出版形態が新書であり(数字の羅列はウケない),統計数字がすぐ古くなることを考えてみれば,無理な注文か。 |