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 セーフティーネットの政治経済学 (ちくま新書)
セーフティーネットの政治経済学 (ちくま新書)
 
¥ 714
発売日:1999-09
筑摩書房
オススメ度:
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■  小泉・竹中政権以前に準備された、もう一つの日本
 一時テレビの討論番組の常連であった経済学者・金子勝の1999年の著作である。
 後に小泉・竹中政権が推し進める「構造改革路線・グローバルスタンダード」に対峙する「市場の失敗を補完し、市場を信任を支えセーフティーネット」の構想と必要性が論じられる。
 後に、有権者の熱狂により迎えられ、支えられた小泉・竹中政権の経済政策とは異なるもう一つの日本の可能性が予め1999年の時点で構想されている。
 本書は、いま時を経て小泉・竹中政権で日本が失ったもの得たものを総括する際の補助線として、改めて読み返す価値がある。
 金子の主張の中心点は、「市場とセーフティネットの本質的な相互補完関係」の存在であり、「〈信頼と協力の領域〉によって〈市場競争の領域〉が支えられており、両者は切り離せない相補関係にある。」と点である。
 第6章の各論については、食い足りなさがあるが、エピローグ「信頼の経済学序説 」は、金子が一貫した小泉・竹中政権の経済政策批判者として「もう一つの日本」を展望し続けた動力となったと思われる。
 小泉・竹中政権の経済政策から離脱しつつある現在、省みられる必要のある一冊といえる。

■  第三の道
自由主義と社会主義や小さな政府と大きな政府などの近代の産物といわれる二項対立を脱構築して、根本から考え直している点が大きく評価できる。だが、第三への道については、物足りなかった。

■  「金子経済学」の応用編

 『市場と制度の政治経済学』(東京大学出版会、1997年)が金子経済学の「基礎編」と見なすならば、本書はさしずめ「応用=政策編」と位置付けられようか。
 内容的には、前掲書において展開した本源的生産要素(労働、土地及び貨幣的資本)の市場化限界論をベースにセイフティ・ネットの必要性等を訴えており、さらには「社会保障基金政府」の創設など、大胆な提案も本書に盛り込まれている。
 なお、別書などでも見受けられることだが、金子氏における新古典派経済学の市場論や「ゲームの理論」の批判においては、塩沢由典・大阪市立大学教授の所論が色濃く反映していることを付記しておきたい。
 

■  生活者の現実を適切に説明
情報理論のシンプルさで現在の日本の経済状況を理解できないし、市場原理にゆだねればいまよりもっと不公平な社会になりそうな気がしていた。
一生働いて家一軒すら持ち得ない労働者も増え、老後のくらしもままならない社会が目前にあるのに、若者に働けといっても無理。
まじめに努力できるのは、将来それなりに報われる期待値が高いからこそである。よく考えれば至極当たり前のことをこの国の政府は担保できずに今日を迎えている。

 
 
 
 
  
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