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| | | 妖怪・妖精譚 小泉八雲コレクション (ちくま文庫) |
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最もうつくしい日本語訳 |
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| これまでにハーンの本は(特に『怪談』は)幾つもの邦訳が出て来たし、既に定評のある味わい深い名訳もあるのに、また新訳かと思って読んでみたのだが、最初の一篇を読み終える頃には、それまでの他の訳のことなど頭から綺麗に吹き飛んでしまった。とにかく訳がうつくしい。「美しい」ではなく「うつくしい」と書きたくなる程うつくしい。基本的にですます調で、著者が読者にやさしく語り掛ける様な文体を採っているのだが、これがまたえもいわれぬ独特の雰囲気を作り出している。単に文章を置き換えるのではなく、そこで新たな作品へと深化させてくれる翻訳と云うものは本当に稀なものだが、本書は間違い無くそうしたタイプの名訳だと言える。
収録作品の選定も実にいい。ハーンの再話文学が『怪談』でひとつの頂点を成すのは確かだとしても、それに至るまでの、負けず劣らず素晴らしい昔話の数々は得てして文庫本等では軽視されがちなものである。本書ではテーマ別に分けて比較的広い年代の作品を集めて来ているのだが、ハーンの、人と世界の向こうに永遠を見る眼差しが素直によく解る構成になっている。ポリネシア、フィンランド、中国、インド等々、ハーンが再編した世界各地の神話伝説と云う、恐らくは一般の読者は知らないであろうジャンルが手軽に読める様になったのも実に嬉しい。ハーンの文学が『聊斎志異』や『千一夜物語』に匹敵する業績だと云うことが、本書を読めば実感出来るだろう。 |
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