「そして,自殺する浮船.彼女を支配するデブ母・中将の君との関係は, 往年の宮沢りえとりえママの関係をいやでも思い起こさせる.」 この著者にかかると,すべてこの調子で, とっつきにくい古典でも,親しみやすく解説してくれる. 古典の背景を現代の社会情勢に置き換え, 登場人物の心情を現代人の感覚に引き付けて書いてあるので,読んでいて共感できるところが多い. 源氏物語の原文は出てこないので,古文が苦手な人でも読める. ストーリーと登場人物の心情を中心に解説してある解説本が多いが (たとえば,出口ひろしの「源氏物語が面白いほどよくわかる本」など), この本は,一歩つっこんで貴族をめぐる社会情勢や経済までも読み解いているところが興味深い. 著者は日本史学を学んでいるようで, ここらへんが,国文科出身の人の書いたものと一線を画すところだ. |