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 遠い朝の本たち (ちくま文庫)
遠い朝の本たち (ちくま文庫)
 
¥ 609
発売日:2001-03
筑摩書房
オススメ度:
通常24時間以内に発送
 


 


■  思い出の中の本たち
小さいころ、誰にでもあった面白い本との記憶をよびおこしてくれます。
とりわけ、戦争体験や、まだ海外が遠かったころに受けた筆者の
読書を通じた深い感動が静かに語られています。
気分転換に一章ずつ読んでいくと豊かな気分になれるのではないでしょうか。

私はこの本のなかの「葦の中の声」という部分からアン・リンドバーグの
「海からの贈り物」を知りましたが、この本にも深い感銘を受けました。
取り上げられているものの中には絶版のものもあったかと思いますが、
それらの本を読めば、すばらしい読書体験を共有できると思います。


■  アルバムをめくるように、忘れ得ぬ本の思い出が綴られていく
人生のまだ「遠い朝」だった頃に出会った本たち。雪のひとひら、ひとひらが舞い落ちてきて、いつしか降り積もるように、須賀さんの心の引き出しにしまい込まれていった本たち。子供だった頃から無類の読書好きで、あれこれと本を読んでいった須賀さんが、スクリーンに投影するようにして、自分の心の糧となった本について語っていったエッセイ集です。

初めてその本に触れた時に、首をかしげてしまった言葉への疑問。それがある日、「ああ、あの言葉はこういうことだったのね」と、天啓のように脳裏にひらめくその瞬間。
初めてその本を読んだ時、記憶の中にとどめられた本の中の文章。それら文章たちが、オルゴールの蓋を開くと音楽が鳴り出すように、再び心によみがえるその瞬間。

そうした忘れ得ぬ瞬間を、本と自分とを結ぶ思い出の数々を紡いでいった須賀さんの文章の、なんて素敵なこと。わくわくしながら、引き込まれるように読んでいきました。

本をめぐるエッセイ集では、これまでは長田弘さんの『風のある生活』(講談社)がとっときの一冊でしたが、本書はそれに優るとも劣らない、とっときの二冊目になりました。

須賀さんの文章の見事なこと、そこに込められた思い出の生き生きと輝いていること。本を友とし、本の旅人と自他ともに認める方に、ぜひどうぞとお薦めしたい一冊です。


■  本とたましいの出会い
 静けさとものがなしさがしみいるような文章だ。著者が子供時代にめぐりあった本たちの話を集めたもの。
中原淳一のようないかにも少女らしい趣味の本もあるけれど、この人ならではの本との出会いも多い。印象に残ったのは「葦の中の声」。アン・リンドバーグが飛行家の夫とともに飛行中に遭難し、どこかわからない葦が生い茂った土地に不時着する。飛行機の中で救助を待っているふたりが耳にしたのは日本語だった。またしばらく滞在した日本を去るときに、人々が口にした「さようなら」という言葉の語源にもアンは感動する。

 アンのこのふたつの日本語体験の話が著者の何かを変えた。「それを読むまえと読んだあとでは、私のなかでなにかが化学変化をおこしてしまうような、ひとつの『重大事件』にひとしいほどの、めざましい文章だった。」(p108)「ともすると日本から逃げ去ろうとする私に、アンは、あなたの国には『さようなら』がある、と思ってもみなかった勇気のようなものを与えてくれた」(p110)
 人生の早い時期にどんな本に出会うか、出会いから何を汲み取るかに、どんなに幼くても、その人の<たましいのかたち>のようなものが見えるのかもしれない。


■  思い出が生きているってこういう事なんだと思いました。
この本には、著者が幼かった頃、若かった頃に出会ったたくさんの本達がでてきます。でも主人公は、著者自身の心なんです。本との出会い、その本を通した人との出会い、そしてあの頃読んだ自分とあの時代との出会い、そしてあの頃の自分と今の自分との出会い。。色んな出会いが心の中で過去・今を超えてそこにあります。思い出を語るのは誰にでもできますが、感傷に浸ることはなく、「悲しいことも有るけどそれが人生よね」、と語り掛けてくれるように感じます。途中で急に割り込む会話調も、すごく良いです。とにかく安らぎます。

■  あの父の、娘
読書をこよなく愛し、その幼いときの読書体験がこれほどまでに人の精神の髄に流れ込むさまは、やわらかくかつ弾力のある著者が綴る文体に溢れ出て、読後さわやかな感動を覚えた。50年代ヨーロッパに留学した著者に「日本語がだめになる」といって森鴎外の「即興詩人」を娘に送りつけたという父と修道服をまとったシスターが靴音も軽やかに歩くミッションスクールにて教育を受けたという著者は、まさに特別な人生を歩み稀有な才能を与えられた人であった。幼児期のエピソードにからめて次々に登場する本たちも、これからの読書リストに入れたいようなものばかりで楽しい.すでに他界されているのが、惜しい。

 
 
 
 
  
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