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| | | 色を奏でる (ちくま文庫) |
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日本の美 |
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| ほとんどの人が機械で作られた洋服を着る現代。一方、手間ひまかけて作られた美しい織物。今ではあまり目にすることの無い日本の美が本書にあると感じた。
井上氏の色鮮やかな写真がまた素晴らしい。 |
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草木染の基本 |
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| 「梅と桜を交ぜて新しい色をつくることはできない。」
という著者の立場は、草木染の基本なのだろう。
草木が持っている色を組み合わせただけでも、十分に美しいものができるのに、混ぜ合わせる必要はないのだろう。
混ぜ合わせて新しいものを作ったと思い込んでいる人間の傲慢に矢を射ているようだ。 |
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| ■  |
「ふくみズム」への驚き |
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| 染織という仕事の醍醐味、深みが、美しい日本語にのせられて、じんわりとこちらの心に沁み入ってくるような好著だ。そして何より、著者の志村さんが、おそらく我々の多くとはまったく異なる価値観のもとで生きておられることに驚かされる。
まず彼女は、自然と対峙するにあたって、みずからの身を「主」に据えたりはしない。一貫して、植物から機械的に色を取り出すのではなく、色をいただく、という姿勢。
数十年にわたり、染織作家として第一線で活躍しつづけているというのに、そしてそれを可能にしている彼女の類稀な才能、感性はきっと誰もが認めることであろうに、彼女自身はほんとうに謙虚だ。あくまで自分は草木の命の一端をいただいて、「いつでも素材がそこでやすらいでいられるように」手を携えているに過ぎない、と。
さらに、彼女も忙しくしてはいるものの、おそらく多くの私たちとは忙しさの質がちがう…ストレスを溜めながら、意に沿わないノルマに追われるような忙しさではない。糸の艶のわずかなちがいに、ひとつひとつの色が背負ういのちに心を寄せ、きこえてくる草木の声を、衝かれたように織物の上にのせていく。彼女が「仕事が仕事をしている」と表現するところの、草木や糸と渾然一体となった忘我の境地における、忙しさである。
ここまで我を張らず、またここまでちがった時間の過ごし方をしている女性が、まだ日本におられるのだ!と、一人の女性の生き方としても目から鱗が落ちる一冊である。
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