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明治断頭台―山田風太郎明治小説全集〈7〉 (ちくま文庫) 
警視庁草紙〈上〉―山田風太郎明治小説全集〈1〉 (ちくま文庫) 
警視庁草紙〈下〉―山田風太郎明治小説全集〈2〉 (ちくま文庫) 
人間臨終図巻〈2〉 (徳間文庫) 
飛騨忍法帖 

  
 
 明治波濤歌〈上〉―山田風太郎明治小説全集〈9〉 (ちくま文庫)
明治波濤歌〈上〉―山田風太郎明治小説全集〈9〉 (ちくま文庫)
 
¥ 882
発売日:1997-09
筑摩書房
オススメ度:
 


 


■  華となりえる生き方
山田風太郎の明治シリーズ。上下巻になっているけれど一つの長編では無く、まさに明治という激動の時代に生きた人達の人生譚を上巻には3編収録。「それからの咸臨丸」では榎本武揚、勝海舟、そして第3者の観点の福沢諭吉を比較対象して、どの人物の生き方が好ましいかを読者に問う。福沢は榎本と勝海舟を酷評した。作者も、もし榎本武揚が五稜郭で壮絶な死を遂げていたら後の世の人々にいつまでも心に残る幕末最大のヒーローとなっていたかもしれない、いや生を選んだおかげで日本人の精神が崩壊するきっかけになったかもしれないとまで言う。主人公、吉岡艮太夫はこの物語ではさしずめ土方歳三や伊庭八郎の役割を担う。理屈と武士道精神あなたはどちらを選ぶ?そしてそれだけでは無い福沢と榎本の人間性までも推察する作者の眼力は見事。「風の中の蝶」は素晴らしい作品。この作品の主人公達、北村透谷と石坂ミナ、その弟の石坂公歴、南方熊楠らの若き日の青春群像。これ程登場人物が生き生きとし瑞々しい青春作品は滅多に無い。私が「幻灯辻馬車」で自由党の若者達の心理をもう少し描いて欲しかったという不満がこの作品で解消された。本作の主人公の一人であり26歳で自ら命を絶った明治の天才詩人、北村透谷の自由党の一員だった若き日の詩「いわず語らぬ蝶ふたつひとしくたちて舞いゆけりうしろを見れば野は寂し前に向かえば風寒し過ぎにし春は夢なれど迷いゆくえはいずこぞや」に胸が一杯になる。この詩から連想して作り上げたであろう作者の山田氏のこの明治の青春群像を描いた本作は本当に素晴らしいと思います。「からゆき草紙」はこれも夭折した天才作家、樋口一葉の生涯の中で謎とされるある行動を作者独自の想像力でミステリー小説に、そして樋口の過ごした奇跡の最後の1年を見事に描いています。素晴らしい中編集です。ぜひお勧め。

 
 
 
 
  
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