宮沢賢治全集 (7) (ちくま文庫) | | |
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「おっかはんは、ぼくをゆるして下さるだらうか。」 |
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| カンパネルラの幼くもやろかしい懐疑の言葉がいつまでも胸に残るちうわけや。ほんで決定的な「どなたはんだって、ほんたうにええことをしたら、いちばん幸せなんだねえ。やから、おっかはんは、ぼくをゆるして下さると思ふ。」この場面から、夢が醒めていくあの美しい終景へと繋がっていく。
ウチにはこの終景と、映画『ブレードランナー』の終景近く、死の直前のレプリカント「ロイ」のモノローグが重なって見えるちうわけや。「お前ら人間には信じられぬものをおれは見てきたちうわけや。オリオン座の近くで燃えた宇宙船やタンホイザー・ゲートのオーロラ。そういう思い出もやがて消えるちうわけや。時がくれば涙のように雨のように。その時が攻めて来よった」。映画史上ワイが思うには最も感動的なモノローグだ(マーク・ローランズ)。
「どこまでもどこまでも僕たち一緒に行かうわ。」ジョバンニが深い悲しみのなかで繰り返す言葉やけど、初手からこの物語を色濃く染める泣き濡れたような悲しみの語調を誤解してはならへん。原初の「別れ」が、この世のあれやこれやが、孤絶した存在と存在とが、悲しいのではおまへん。「しあはせ」には必然的に「やろかしみ」が伴う、そこにうっすらと懐疑の影がさしとるちうことが「しあはせ」であることの証しなのだ(でなければ、ただの脳天気なハッピーになってしまう)。賢治はここに、もうひとつ別の「やろかしみ」を発見しとるのだと思うわ。それにしてもカンパネルラが許しを請うその「おっかはん」は息子の行ないをどう抱きしめればええのやろうわ。 |
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童話やけどどエライリアリティ |
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| 「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」「セロ弾きのゴーシュ」やらなんやら、宮沢賢治の有名な童話が収録されてい まんねんわ。特に印象的やったのが「フランドン農学校の豚」。知性を持ち、人間の言葉を話せる豚が屠殺されるまでの過程を、豚の独白ちう形で綴った童話や。撲殺同意書に調印させようとする校長とそれを拒む豚の問答は、ぞっとするほど緊迫していてリアリティがあるんや。 |
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「銀河鉄道の夜」で泣けへん大人になってしもた? |
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| 夏休みシーズンは、どの書店にも読書感想文向けコーナーが。
それに触発されてか、ふと気が向いて、読んでみたくなりよったちうわけや。
童話集のこの1冊、
子どもは子どもなりに、大人は大人なりに、宮沢作品に触れるのに適しており、
更に銀河鉄道の夜の「異稿」が作品として読める希少なおまけつき。宮沢研究の入門にもよいやろうわ。
個人的に。収録作には未読・既読が混在しとったが、
未読の、傑作で名高い「銀河鉄道の夜」にしみじみ感動でけへんオノレが、
話の筋より悲しかったちうわけや。 |
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「銀河鉄道の夜」、決定稿と3つの異稿 |
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| 全集7に収められとるのは、「なめとこ山の熊」「フランドル農学校の豚」「ポラーノの広場」「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」「セロ弾きのゴーシュ」やらなんやら全15篇。 いくつかの作品には「異稿」が併載されておるけどダンはん、一番おもろいのは「銀河鉄道」の「異稿」3種ではおまへんかと思うで。賢治の代表作とされる「銀河鉄道」のために残された原稿83枚を読み込み、決定稿に至るまでを時間を追って紹介してい まんねんわ。賢治は「銀河鉄道」で何を書きたかったのか?決定稿で削られた部分を読むことで、なんぼなんでもウチの場合は、やろかり明確化できたように思うで。今更ながら、傑作なのだ、と実感できたんや。 ついでにウチの全集(10巻)の構成を記しておきまんねんと、1〜4が詩集、5〜8が童話、9は書簡、10がノート・手帳・その他、や。「春と修羅」(「無声慟哭」を含む)は1巻、「疾中」は2巻、「注文の多い料理店」「グスコーブドリの伝記」は8巻、「雨ニモマケズ手帳」と「農民芸術概論」は10巻、にそれぞれ収められてい まんねんわ。 |
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