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 神話の心理学
神話の心理学
 
¥ 1,575
発売日:2006-06-15
大和書房
オススメ度:
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■  人間の心の理解に焦点を当てて神話を読むための入門書.
 本書は、季刊誌『考える人』(新潮社)に2002年から2005年の間に連載された「神々の処方箋」を加筆修正したものです。著者の河合氏は日本におけるユング派心理療法の草分けの臨床心理学者ですが、ユングあるいはユング派にとっての神話は非常に根源的な考察対象だと見受けられます。これは「「おまえは、いかなる神話によって生きているのか。おまえの神話は何か」という自分自身への問いかけとして感じた(P.27)」というユングその人の問題意識からも窺えます。

 神話は古代の史実の断片、その解釈、抽象化されたエッセンスです。そのため、長い時間に耐え得た真理の一側面が含まれています。人間の内面的成長は、科学技術が進歩するように日進月歩とはいかないので、神話に描かれる抽象的な人間(神々)の幸福や苦悩に学ぶ余地は大いにあります。その典型は、本書で扱われている「男と女」や「親子の葛藤」といったテーマでしょう。民族の数ほどある神話のどのエピソードにどのような刺激を受けるか、は個々人によって異なるでしょうが、著者の「ここに述べているのは「私の読み」であり、読者はそれをヒントに自分の読みを見出し、自分の生き方について考えてくださるといいと思う」という提案にまずは素直に従ってみるのも悪くありません。

 著者は「本書は人間の心の理解に焦点を当てて神話を読むためのほんの入門書であり(P.4)」と謙遜しますが、入門書こそ、その道の泰斗が書くべきものです。本書が河合氏の筆によったことは読者にとって幸いだと思います。

■  今を生きる知恵、神話の魅力を解き明かしてくれる
 生きるための深い知恵を学ぶ素材として「神話」がある。そこには、人間存在の最も根源的なことが書かれている、と著者はみなす。数ある物語の中でも、人間や世界の成立に立ち返っての語りであるために、学ぶことが実にたくさんある。科学・技術の急速な発展のために、便利な機器が作られ、「マニュアルどおり」にすれば望ましい結果が得られる。しかし、それによって生きようとしても、すべてがそれで律することのできない人間存在の不可思議に立ち往生することがある。たとえば、天照大神はただ光り輝く存在であったが、女性としては欠けたところがあった。アメノウズメは女性の身体、性の重要性をもろに示した。鏡に映るアマテラスに「あなたより貴い神がいる」と嘘をつく。嘘も方便である。事態はそれで進展する。ことほど左様に人生は簡単ではないが、人間が生きる微妙な示唆をパラドックスの形で教えてくれるのが「神話」の魅力であろう(雅) 

 
 
 
 
  
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