家にはこだわっていたつもりでしたが、本書を 読んで、自分の価値観が日本の商業主義、なんでも金銭価値 に還元する、個性のない価値観によって染められていたことに 気がつきました。知りませんでした。気がつきませんでした。「住人より長く存在する家」この言葉は心にガッツンときました。 そうなんですよね、どんなにがんばっても大邸宅は無理だし、でも、 家はくつろぎの場所、幸福の証にしたいし、って漠然と思っていました。 英国人の暮らし方を礼賛することは著者もしていませんし、それが 本書の神髄ではありません。 どういう暮らし方、その象徴として の街、家、庭、近所のつきあい、行政のあり方が、市井の庶民の 幸福を実現する舞台を提供するのか、そういう深い意義を持った エッセイなのです。 恥を忍んで言ってしまえば、読んでいて涙が出てくるような そんなショックを受けた場面もありました。 それは、私が持っていた「さらに幸福に」のための、数々の 思いこみ、凝り固まった先入観、虚栄、見栄、金銭還元主義・・ そんなものは、決して私や私の家族、家庭を幸福にする暮らし方 ではない、そういう考えで家をみるべきではないし、家と 向かいあうべきではない、という「気づき」をした瞬間です。 英国の家、街、歴史と日本のそれとを対比させつつ、「あなたは 本当に、幸せについて真剣に考えたことありますか?」、そう いう、大切なテーマを喚起している、貴重な一冊です。 |