|
|---|
| ■  |
日本国内の研究者にも読んでいただきたい1冊 |
|
|---|
| この本は海外で研究を行う者、これから行おうと思う者へのエール。そればかりではなく、日本国内で研究を続ける方たちにもぜひ読んでいただきたい。あなたが実際したいのは、いい研究なのか、いいポスト狙いなのか。もちろん誰でも口では”いい研究”を唱えるだろう。が、それと同時にたいていの者は「(ポストもないうちに)日本から出て海外で研究することは、日本での将来のポストから遠のくこと」を知っているだろう。残念ながら、これが日本の現状である。この本には、ともすると研究者が見失いがちなこと=何よりもまず研究ありき、を深く再認識させてくれる。それとともに、ネットがここまで普及した現代でもいかに日本の研究社会の現状は閉じているか、がよくわかるだろう。 |
|
|---|
| ■  |
研究者を志す者としては日本の研究環境に考えさせられます |
|
|---|
| 日本の研究環境では実を結ばず、渡米して大きな結実を見た日本人科学者たちの物語とそこから透けて見える日本の研究環境の抱える問題を浮き彫りにした点が本書の功績でしょう。農業経済の分野で修士号を取得して一度就職したものの研究者への思い止まず、おまけに専門を変えて博士課程を目指す私にとっては非常に興味深く、進路の判断そのものを考えさせる一冊です。 本書では、青色発光ダイオードの発明者・カルフォルニア大学サンタバーバラ校教授(1)中村修二氏、フラーレンの第一発見者の地位は逃したもののカーボンナノチューブの発見者となったNEC基礎研究所主任研究員(2)飯島澄男氏、バイオインフォマティクスの旗手でトロント大学教授の(3)伊倉光彦氏、エンドリセリンやオレキシン研究の第一人者でテキサス大学サウスウエスタン・メディカルセンター教授(4)柳沢正史氏、独自のクローン技術で高名なハワイ大学医学部教授(5)柳町隆造氏、大気の1次元モデル、大気・海洋結合モデル、大気大循環モデルといった気象学では屈指の重要概念を提示した前地球フロンティア研究システム領域長(6)真鍋淑郎氏、ノーベル経済学賞に最も近づいた日本人と呼ばれその経済理論の精緻さは個人消費の分析理論に裏づけを与えたスタンフォード大学教授(7)雨宮健氏、というそうそうたる7人が登場します。いずれもが各分野の天才ですが、日本の研究システムには馴染めなかったという共通点があります。それにしても真鍋氏の「同じ人間がアメリカでできて、なぜ日本ではできないんでしょう(P.213)」という言葉はズシリと心に響きます。 無論、アメリカの学術研究は激しい競争が繰り広げられる実力社会です。競争に敗れてアメリカを去らざるを得なかった人たちも描ければ一層深い内容になったのではないでしょうか。 |
|
|---|
| ■  |
海外で突出した研究活動を行う日本人研究者をインタビュー |
|
|---|
| 日本を離れて海外(主にアメリカ)で突出した研究活動を行う日本人研究者をインタビューし、彼らのキャリアを紹介しながら、研究環境を含めたシステムの違いを浮き彫りにし、日本における科学技術開発の現場への警鐘を鳴らそうとする書。日本人には独創性がないのではなく、それを摘み取ってしまう制度、文化、慣習、環境などが数多く存在していることを非常に具体的に目に見える形で示している点で有益だと思う。そして、各研究者へのインタビューを終えた上で、著者は最も大きな問題点として、(1)画一的な教育制度と大学の上下関係、(2)相互評価(相互監視)の機能しない「もたれ合い」、(3)官僚の縦割り行政と単年度予算弊害、の3つを挙げている。こうした問題点の指摘は決して目新しいものではないものの!、これらを実際の研究者の経験と生の声を通すことで説得力のある内容となっている。 |
|
|---|
| ■  |
日本はジャイアン、スネオ主義です |
|
|---|
| 青色ダイオードの中村さんは日本を共産主義というがそれはちょっと違う。私は以前から日本はジャイアン、スネオ主義であると思っています。学歴を持ったジャイアンとスネオがこの国を支配しています。のびたは暴行を受けて、出来すぎ君は安い賃金でこき使われ奴隷になって、全てジャイアンとスネオに取られてしまう。やはりこの国で力を持つのは、武力のジャイアンとそれをたくみに利用するスネオでしょう。いやならアメリカに行くしかありませんね。私もそう考えて日本企業には入社しません。 |
|
|---|
| ■  |
日本と現代の科学技術文明との関係の研究を促す本 |
|
|---|
| ここに登場する7人の日本人(アメリカに帰化した人も居るが)は、心の底から日本を嫌っているのではありません.母国に対する愛着では決して人後に落ちないのに、自分の生涯を捧げて悔いない学問のためにはアメリカかカナダに住まざるを得ないのです.著者は、本人や周囲の人たちにインタービューし、関連する資料を収集してこの事を確かめ、わかりやすく記述しました. もちろん、この本を読むに当たっては、そこに書かれていない事にも注意が必要です.たとえば、ノーベル賞級の研究をする人たちの大半が流出したわけではないという事実があります.しかしこの本を読んでから改めて日本人ノーベル賞(自然科学系)受賞者に関する報道を見ると、彼らが「異脳」の人のように見えるケースがしばしば見られるのに気がつきます.しかも、その人たちに対する国内での顕彰がノーベル賞の後を追うように行なわれることが珍しくありません.こういうことを考えると、著者が「異脳」流出を問題として取り挙げたことには優れた見識があると言うべきです. これらの事を見るにつけ、20世紀にルース・ベネディクトが直面した課題が日本人と科学技術文明との関係は今後どうなるのかという新たな装いを伴ってわれわれに迫っていることを感じます.『「異脳」流出』は、人文・社会系の学者にもっと真剣に日本を研究せよと促しています. |