| 前著『エスニックの次元』(1998年)で輸入物でない《われわれの問題》を扱うべきことを論じ、『タイトルの魔力』(2001年)で身近なネーミングの機能や背景を緻密に分析した著者が、今回、美学史を見渡し、その根本問題に迫る入門書に取り組んだものである。 激変の時代。「かつては、美学書にも標準的な目次がありました。いまでは、その目次を作り出すことが、美学者の最初の課題であるようにさえ思われます」――そう言う著者が持ちかけるトピックは、一見美学書らしからぬもの。センス、カタカナ語、複製、身体、スポーツ、美人・・・・・・。しかし、それらが「趣味」や「感性」から「藝術の終焉」「アートワールド」に至るまで、美学上の重要概念に結びついてゆく。 本書では、藝術にまつわる自身の体験や見解がユーモアを交えて語られる。しかし、著者の執拗なほどの問題意識、厳密な思索や分析は、そうする間も休むことはない。平易でありつつも、じつは最も先端的な美学の問題を扱い、さらには人間中心主義の近代を清算した近未来の「人間を超える美学」を示す、貴重な入門書である。 |