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 古代への情熱―シュリーマン自伝 (新潮文庫)
古代への情熱―シュリーマン自伝 (新潮文庫)
 
¥ 380
発売日:1977-08
新潮社
オススメ度:
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■  ことを成すことの凄さ
有名な話なのでご存知の人も多いと思うが、実際に読んだ人はそう多くは無いかもしれない。
本書は、幼少の頃抱いた夢を実現させたというシュリーマンの生涯について書かれている。
現在では、これは事実と異なるといわれているが、私財を投げ打って発掘し、エーゲ文明の存在を実証した彼の功績は非常に大きい。
事業の成功により財をなし、十ヶ国以上の言葉をマスターしたシュリーマンは考古学者というよりは、語学堪能な実業家だと思うが。
薄い本なのですぐに読める。

■  学問への意志を見出すことが出来る
本書は、読書感想文の候補となる本のひとつであろう。

この本を読むと理解できると思うが、シュリーマンの成功は少年時代にある。少年のシュリーマンは、古代の歴史に強烈な興味を抱いていた父親からホメロスの英雄たちの功績、トロイア戦争のさまざまな出来事、の物語を語ってもらったことにより感銘を受けた。その後シュリーマン自身商人として成功しながらも古代への想いをさらに強めていく様子が力強い言葉で描かれている。

ここには、学問を志す人のひとつの純粋な精神の有り方を見出すことが出来る。

このため、これから立ちはだかるであろう学問の障壁へ向かおうとする人々にとっても読まれるべき本である。

一方、遺跡に関する後半の具体的な記述が、もっと図示されていたなら理解が更に深まったのではとやや悔やまれるが、この部分は他の著書に当たるべきなのであろう。

■  情熱こそ、たった一度しかない人生成就の原点である。
信念は現実化する。私の座右の銘の一つである。シュリーマン著『古代への情熱』、これを最初に紐解いたのは25,6歳の頃であった。科学者を目指し、上阪を果たした私にとっては当時のバイブルであった。本著は、著者夫人による前書、友人マイヤーによる後記、そして7章、すなわち1)少年時代と、商人としての人生行路、2)〜6)には発掘への軌跡が記述され、そして7)晩年、からなる。かの偉人は、ホメロスの描くトロイヤ戦争を“史実”として証明せんがため、40歳よりいよいよその本格的な準備と発掘にとりかかる。不惑を迎える迄の間、実業家として財産形成に専念する傍ら、本発掘作業へ備えて、彼は確かな“準備”と着実な“計画”を練っていた。すごい人である。一大学教員である私は、講義の最後に必ず本著を学生に紹介している。物事を成し遂げる事への“情熱”を知ってもらわんが為、かつ一度しかない人生への“直覚”を促したいが故である。不惑を今年迎えた私にとって、本著は、一方で初読後とは異なる“ある所感”をも与えてくれた。信念の大切さはもちろんだが、物事の成就には10年単位の準備が必要である、ということである。私の場合、今後の“準備と計画”は、従って50歳にして成るということだ。人生の軌跡を再考したとき、私は無意識にこれを行ってきたような気もする。しかし、偉人の文字によってわがこれまでの生き様を再観したとき、それはある“確信”へと変わった。『信念は現実化する』のである。一説には、実業家として成功した彼の、これを売名行為とする向きもある。だが、それはそれでよいではないか。巨万の冨を本事に捧げたのは“事実”であり、かつ偉大なる大事を成し遂げた“結果”は永遠に不滅なのだから。巷には多くの人生成功のハウツー本があふれている。このような“寄せ木細工”を読む暇があれば、本著を読むべし。真の“情熱”は原典をもって感化するのである。

 
 
 
 
  
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