| わずかばかりの論点追加と、著者の語り口について一言、二言。 たしかにこの本は、「ロボットは心を持てるか」という問に対し、「持てる」という立場に立って議論を突き詰める内容になっている。ただし注意すべきは、結論は保留されているという点。というのも、巻頭からさまざまに切り口を変えながら、「ロボットは心を持てる」という判断を支持する結論を導き、重ねながらも、巻末近くで扱われる「感情」や「道徳」の問題までたどり着いた時点で、最終結論は留保される。 結局、人間の心の成り立ちが分からない以上、ロボットがそれを持てるかどうかの議論も立ち止まるしかないという、当たり前といえば当たり前の結末。つまりこの本は、裏側からの人間論だったわけだ。 ちなみに、著者は文中各所で自分自身に突っ込みを入れている。何かを主張した直後にカッコ書きでそれを相対化するような記述や合図が、多いときは1ページに2〜3か所も出てくる。あるいは、そもそも哲学している自分自身に憐憫または嘲笑を投げかけるような記述も頻出する。日ごろ周囲からよほどイタイ視線(「あの先生もいい年をして、何て地に足のつかない話をしてるの?」)を浴びているのかと同情したくもなるが、しかしその一方、おかげで文脈が錯綜して話を不必要に混乱させている気味もあり、ちょっと哲学者としての覚悟とプライドが不足してるゾッ! と発破をかけたくもなった。哲学者の人生も大変そうだ。 分かりやすく、面白い本だと思うけれど、各章冒頭に置かれた「7つの哲学物語」の出来栄えについては、評価を差し控えたい。 |