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 迷宮学入門 (講談社現代新書)
迷宮学入門 (講談社現代新書)
 
¥ 714
発売日:2000-12
講談社
オススメ度:
 


 


■  まとめすぎ
 迷宮(ラビリンス)と迷路(メイズ)は似て非なるものである。迷路が人を迷わすことを目的としているのに対し、迷宮は一本道であり、迷うことなく中心へ到り、帰ってくることが出来る。人を迷わすためではないとしたら、何のために迷宮はつくられたのか。その疑問を解き明かすのが本書の狙いである。

 新石器時代の迷宮紋様から、クノッソスの宮殿、中世の教会の迷宮に、近代の庭園迷宮。迷宮の歴史と変遷をたどることで、迷宮の持つ象徴的意味、すなわち成人への通過儀礼、死と再生、キリスト教的な救済などが明らかになる。

 本書は西欧を中心に行われている迷宮学の研究成果をまとめあげたものであり、細大漏らさずポイントが提示されている。やや急ぎ足過ぎて物足りない部分も多いが、「入門」としての役割は十分に果たしてくれるだろう。
 それにしても、ヨーロッパの迷宮研究がこれほどまでに盛んだとは思わなかった。


■  アリアドネの糸玉の秘密が明かされる?
自分は「迷宮」と「迷路」の違いはただの言い方の違いだと思っていた。本の中でもそうした混同が古代にはすでに始まっていたと述べられている。さぁ、この本を読んでスッキリしようではないか。

一本路をたどり、最奥まで到達したら同じ路を引き返す構造を持つ迷宮は、原始宗教的な意味合いを持つ。それは大地母神の子宮であり、そこに入ることは死(地中・洞窟への埋葬)、そこから出ることは誕生または再生となる。

著者はさまざまな史料から、迷宮が神話伝説の英雄たちの成人儀礼のため使われてきたこと、また、死と再生の装置としての力を持つことから封印・魔よけ・都市攻防のまじないとして利用されたことを紹介する。さらにはキリスト教世界での変遷の歴史、旧世界のみならずアメリカ大陸でも迷宮の存在が確認されたことなど、興味深い記述は尽きない。


■  迷路と迷宮の違いとは
出口のない迷路と、反対に一本道を振り子のように通りさえすれば必ず終点まで辿り着く迷宮。本書は紀元前のクレタ文明から近世欧州の迷宮庭園まで、迷宮に秘められた意図を解き明かす。 ただ、本書の目的は「迷路」という知的ゲームの解明とは関係ない。そういう期待を持つ読者には向かないかも知れない。

 
 
 
 
  
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