| 自分は「迷宮」と「迷路」の違いはただの言い方の違いだと思っていた。本の中でもそうした混同が古代にはすでに始まっていたと述べられている。さぁ、この本を読んでスッキリしようではないか。 一本路をたどり、最奥まで到達したら同じ路を引き返す構造を持つ迷宮は、原始宗教的な意味合いを持つ。それは大地母神の子宮であり、そこに入ることは死(地中・洞窟への埋葬)、そこから出ることは誕生または再生となる。 著者はさまざまな史料から、迷宮が神話伝説の英雄たちの成人儀礼のため使われてきたこと、また、死と再生の装置としての力を持つことから封印・魔よけ・都市攻防のまじないとして利用されたことを紹介する。さらにはキリスト教世界での変遷の歴史、旧世界のみならずアメリカ大陸でも迷宮の存在が確認されたことなど、興味深い記述は尽きない。 |