平田 オリザさんは、一幕ものの芝居しか書かないそうです。つまり舞台は一箇所。 ここで全ての演劇が行われる。観客にこの舞台がどのような場所なのかを知らせる のには「せりふ」しかないわけです。次ぎに登場人物がどのような人々であるかを 観客が知るためには「せりふ」は更に工夫されるわけです。 舞台設定、俳優の動作、せりふ、この3つがそろったものが「戯曲」なんですね。 この戯曲の書き方が前半述べられますが、これが実に私の先入観を裏切って面白かった。 (1) テーマが大事だと思いきや、現代演劇にはもはや伝えるべきテーマは無いの だと筆者はいいます。ただし「表現したいこと」はあふれるほどあるのだと。 (2) この「表現」のために、作者はまず舞台を選びます。登場人物を注意深く設定します。 登場人物の、動き(出入り、所作等々)を決めます。せりふは、なんと最後にくるのです。演劇をやっているヒトには当たり前のことなのでしょうが、素人には実に新鮮でした。 劇場で、物を言えない観客が、実はその演劇に参加しているかのような疑似体験を 覚えることができる、そのような表現様式である演劇。演劇という表現手段には、 現代だからこその注目すべき意味合いがあるのだと作者は主張しますが、説得力があります。 演劇のことなど殆ど知りませんでしたがが、この本の素晴らしさは充分理解できます。 実に刺激的な本でした。 |