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 妖精学入門 (講談社現代新書)
妖精学入門 (講談社現代新書)
 
¥ 840
発売日:1998-09
講談社
オススメ度:
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■  妖精たち
 ケルトの妖精について語らせたら日本一と思われる井村氏が、妖精についてなんとなくまとめてみた一冊。
 前半は、妖精の起源や分類。用語についても事典的にまとめられている。後半は、口承、文学、絵画、演劇などにあらわれた妖精について。
 全体を通して感じられるのだが、持ち出される妖精の種類や文学作品が非常に恣意的で、相互のつながりがない。どうしてこれが選ばれたのか、良く伝わってこないのである。「妖精学」を確立しようという意気込みは表明されているのだが、各節・各材料の位置づけ、意味が分からない。
もう少し、しっかりした仕事をして欲しいものだ。

■  『妖精学入門』ではなく、『妖精入門』
井村君江『妖精学入門』(講談社現代新書)

 妖精に関する、文字通りの入門書である。第一章で妖精の起源(ケルト文化の神々が零落したもの)を解説したのち、エンサイクロペディアと称した第二章では、各国の代表的な妖精、妖精に関する用語を細かく紹介する。第三章では、創作に登場する妖精を網羅する。文学、絵画、映像作品……コナン・ドイルを挙げて、コベントリーの写真事件に触れるのも忘れない。「妖精とは何ぞや?」という人でも、基礎的な知識がまんべんなく得られるようになっている。全体で180ページしかないことを考えると、圧巻というほかはない。
 しかしながら個人的には、少なからず不満が残る。ここには、「手段としての妖精」はあるが、「目的としての妖精」にはほとんど触れられていない。
 著者は序文で、妖精学(Fairyology)という言葉は、存在するにはしているのだが、一般的に馴染みが薄いと語っている。その上で「「妖精」を単なる民俗学上の研究対象にとどめず、「妖精」自体を主題とした新たな研究領域を定めるには、「妖精学」という言葉を用いる方がかえってふさわしいという場合もあるのではないか」と述べ、「「妖精」を手がかりに深く研究を進めていくと、その先に人類学や民俗学、深層心理学や諸芸術の想像力の根元などが、多様にまた複雑に絡み合っていることに気づかれるだろう」と、著者の考える妖精学の成果を説明している。
 しかしこれは、妖精学の説明としては弱い。柳田・井上の妖怪研究を持ち出すまでもなく、ツールとしての有用性は容易に想像がつく。問題は、「単なる民俗学上の研究領域」を、妖精学が内側から脱し得るかということだ。「妖精学」という学問が、新しい独立した学問として、特別な可能性を示唆することが出来なければ、Fairyologyという言葉が定着するはずもないのである。
 本書は、新しい学問の魅力を伝えるには至っていない。従って、『妖精学入門』という看板にしては、やや物足りないといわざるを得ない。よって星3つとした。ただし、単に『妖精入門』と考えれば、ほとんど満点の内容である。「妖精についていろいろ知りたい!」というタイプの読者には、星5つの満足が得られるだろうと思う。

■  まさに入門書
妖精と言われても、思い浮かぶのはディズニーの妖精くらいしか思い浮かばない人は多いだろう。妖精が好んで出没する場所がストーンヘンジやドルメンなどの古代遺跡や土塚などであると知って奇異に思う人は少なくないだろう。
本書はこのように知っているようで知らない妖精の歴史や伝承、文学、絵画、演劇などを広く浅く説明している。予備知識がなくても分かるので、妖精に興味をもった方には良い本であると思います。

 
 
 
 
  
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