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| | | じぶん・この不思議な存在 (講談社現代新書「ジュネス」) |
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電車のなかで化粧する<思想> |
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| 名著である。哲学的な訓練を積み、なおかつ考え抜いた知性だけが能くし得る文章といえる。
一点だけ、電車内で化粧する女性についての一文は秀逸であり、考えさせられる。
それは脳の問題ではない。<他我問題>である。これを<脳の問題>とする議論こそが「問題」である。『唯脳論』や大手メーカーの研究所で高給を取るらしいチンケな脳学者の本は端から御免蒙るが、ケータイ脳やケータイ猿といった議論も非常に危険なイデオロギーを含んでいることが、本書でハッキリわかる。「電車でお化粧」はハッキリと思想・哲学問題なのだ!
もちろんこれだけでなく、他の文章も繰り返し読むに耐える逸品の数々である。小林秀雄のエッセイ『考えるヒント』といったものにいまだに魅了される御仁には、是非読ませたい。文体に対する感覚、思考することの流儀がまったく変わってしまうだろう。 |
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存在の不思議 |
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| 「こだわりやしがみつきを手放すこと」についてあれこれ思う昨今であるが、人がとかくこだわり、そして悩みの種となっている問題に、〈わたし〉とか〈じぶん〉とかいったものがあるのではなかろうか。
これほど自明に見えて、これほど突き詰めていけばいくほど曖昧模糊として掴み所のないものは、他にそうないだろう。その困難を前にして、「自分はしょせん自分でしかない」といった類の思考停止を超えたところに、著者の思索の領域はある。実に言葉にしづらいテーマであるはずなのだが、著者の繊細な筆はそうした微妙なところをうまく言葉に乗せている。
語っても語っても伝わらないという体験は、誰にでもあると思う。とりわけ、「自己と他者」といったテーマにくくられるようなことについてそうした体験を持つ人は、この本を大いに参考とすることができるのではないか。 |
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雄弁な薀蓄 |
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| 追求すれば追及するほど、「じぶん」の存在が不可思議で壮大さが増して可笑しくなっていく。小難しい箇所もあるが、気が付けば本書に惹きつけられてハイペースに読破できてしまう面白みのある一冊である。 |
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