| 大きく第一部「動物裁判とはなにか」、第二部「動物裁判の風景―ヨーロッパ中世の自然と文化」に分かれるが、圧倒的に面白いのは第一部。 幼子を食い殺した罪で法廷に立つブタ、破門されるミミズやイナゴ。しかし、意外にもそれらを弁護する法学士はモグラの安全通行権や毛虫の居住権までも勝ち取るという史実のバカさかげんに圧倒される。そして、圧倒的に多かったであろう獣姦罪の数々。獣姦罪で有罪となった人と動物はほとんどの場合、炭になるまで焼かれ、裁判記録も不浄のものとされて同時に燃やされるかしていたのに、それでも残っている数々の記録は、獣姦がいかに多かったかをうかがわせるという。 ここまでワクワクさながら(新書という構成上しかたないのかもしれないが)第二部は尻すぼみ感がいなめない。 実は中世において本当の意味でのルネサンスや産業革命はなされていたのだという、今日では主流派の考え方にのっとり、人間と動物(自然)を対等と見てという精神が出現した重大さを指摘する。本来恐るべきものであった森に代表とされる自然が、農業の発達とともに、人間が征服し始めることによって、人間の従属物へと変化していく。動物裁判とは、そうした時代の過渡期に現れた現象であるという指摘は、べつに合っていてもあっていなくてもつまらん。 これも『歴史学ってなんだ?』小田中直樹に紹介されていて読んだ本で、3冊目。 |