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 哲学の歴史―哲学は何を問題にしてきたか (講談社現代新書)
哲学の歴史―哲学は何を問題にしてきたか (講談社現代新書)
 
¥ 735
発売日:1989-12
講談社
オススメ度:
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■  非凡な着想
新書で哲学史を、ということで依頼されたのでしょうが、普通の哲学史的な叙述を拒否して、問いの歴史として書こうというあたりが非凡なところです。非常に中身が濃く、「新田現象学」の見方が随所に現れています。ただ、理解するにはある程度の基礎知識が必要であり、哲学史を全く知らない人にはむずかしすぎると思います。しかし、多少内容が理解できる人にとっては、何度も読み返すに足るだけの内容があります。

■  問いの哲学史
これはとてもよい哲学史である。通史という形をとっていない。「問うことへの関心」を忘れている読者に「問うことを喚起する」ために書かれた本である。だからすでに問いをもっている読者には最適の哲学史だ。哲学の問いは個人の「内発的な問い」であるとともに、「それぞれの時代の問い」でもある。「それぞれの時代の問いが何であったかを、まず哲学の歴史の流れにそって振り返って」いる、そういう哲学史だ。

それは目次によって確認することができる。だから目次を見て、自分の関心のある問いを哲学史的に追うことができる。これは非常に大切なことである。自分の関心のある哲学者がどのようにして彼の問題を追求していったかを、時代の思潮から見通せるからである。特定の哲学者をそれだけ取り出しては理解できないときにその有効性を発揮する。その意味で少し哲学的問題をもちだした人には格好の書である。またそれに十分答えうるだけの内容をもっている。だから問題を整理するためにも有効で、私自身ずいぶん恩恵を受けた。それを一つあげる。「ハイデガーによれば、存在者を在らしめる存在の動きは、存在者を輝かせかつそれ自体は輝かない出来事である」とあるのを見て、アリストテレスの「それはみずから動くことなく、すべてのものをそこへ向けて動かす究極目的であり、それゆえ『不動の動者』といわれ」を思いおこした。

最近、だらだらした対話形式の入門書が目立つ中にあって、真に実力のある人によって書かれた内容のある書物である。それに新書にはめずらしく「索引」がついている。索引のない本は、二度読んでくれなくてもよい、と著者自身がいっているようなものである。古典学者の田中美知太郎のこだわりが現代哲学専攻の学者にうけつがれているのは歴史と言うべきか。


 
 
 
 
  
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