| 高校数学にとっつきにくいあるいは一応問題は解けるけど、この数学的な概念が何のために役に立つのかと疑問を持つ人は多いかと思う。高校数学はいきなり定義や定理、計算の仕方から入るが、その概念がなぜ必要とされたのかといったことが大幅に省略されてしまっている。確かに機械的にその概念、計算の仕方だけを覚えるならそれでよいのだろうが、学ぶ側はその概念がなぜ必要となったのかといったことを知らないと、学ぶ意味が分からず、とっつきにくい。本書はそんな片手落ちの数学のあり方を補うものとなっている。本書あとがきには以下のように書いてある。 ある受験生の読者から手紙をもらいました。その手紙には次のようなにありました。 「二次試験も間近ですが、私にはベクトルがぜんぜんピンときません。参考書の通りにやれば答えが出せるのですが、ベクトルは何に必要なのか、内積が何を意味するのか、わからないのです。今からでは遅いでしょうが、ワラにもすがる気持ちでお聞きします」(中略)これを考えているうちに、あることに気がつきました。それは、「何の気なしに使っていて、それで用が足りているが、その意味については、そんなに深く考えていないものが結構多いのではなかろうか」ということです。(p.228) このように本書は高校数学で習う内積や行列におけるあの特殊な掛け算の意味など、あーそういうことだったのか、と理解できるものが多くためになる。しかし読者を高校生ぐらいに設定するならば、もう少しつっこんで書いてもいいかと思う。例えば内積の他に外積があると書かれているが、それが何なのかは一言の説明もなされていない。またマンガといっても四コママンガが各見開きに一個ずつある程度でしかもあまり面白いとはいえない。以上を総合的に評価して4とした。本書と共にブルーバックスの『マンガおはなし数学史』も合わせて読むと高校数学にさらに広がりがでると思う。 |