この本に出会ったのは、中学3年生の頃でした。 今から考えてみると、随分と渋好みな中学生だった気もしますが(笑)、向田作品に心惹かれたきっかけというのが、高校受験のために日々受けていた国語のテストの長文に、よく彼女のエッセイが引用されていたからなのです。試験中にもかかわらず、時間が経つのを忘れて、時には可笑しくて笑い出したくなるのをこらえながら、「テスト問題」に引き込まれたものです。 「面白いなあ、続きを読みたいな」と思うと、必ずといっていいほどそれは向田作品でした。 その後、それらが収められている随筆集を入手して読んだわけですが、楽しかったですね。 けれど、自分が大人になって改めて読んで「ああ、わかるなあ・・・」と思える部分が多くなり、子供時!代とはまた違った意味で数倍楽しむことができました。 向田作品は大人のための作品である、と私は思いますが、子供をもひきつけるユーモアも満載です。そして、大人だけが知っている喜びや、切なさや、悲しさも・・・。ごく普通に生きている人たちの日常から生まれたエッセイだけに、心の中に沁みこんでくるような作品が多いように思います。 「ああ、それってわかる、わかる!」ということを、これほどまでに鮮やかに描くとは、あっぱれ!としか言い様がありません。 |