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 中華人民共和国史 (岩波新書)
中華人民共和国史 (岩波新書)
 
¥ 777
発売日:1999-12
岩波書店
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■  中共50年間の軌跡の概括。毛沢東の尋常ならざる権力闘争に言葉を失う。
 中華人民共和国の建国前史から江沢民政権までの約100年を扱うが、そのほとんどをタイトルが示すとおり1949年以降の約50年間の記述に費やされている。
 それにしても1976年までの中華人民共和国史は毛沢東に振り回され続けた歴史といっても過言ではない。
 53年のスターリンの死をきっかけにスターリンと関係の深い高崗を激しい党内闘争の末自殺に追いやる。56年にフルシチョフの「スターリン批判」により個人崇拝批判が行われると、毛沢東の威信を再強化すべく大衆運動を引き起こす。党に対する積極的批判を歓迎する「双百」をあおり、反中共分子をあぶりだすと徹底的に叩く。同時に「独自の方法と意気込みを強調」した「大躍進」を採択する(58年)。大躍進の重大な行き過ぎに20年代からの同士である彭徳懐が私信で意見書を提出すると、早速これを失脚させてしまう。62年に大躍進政策の失敗から「自己批判」を余儀なくされ主役が劉少奇とトウ小平に移ると、実権派打倒へ向けて動き出す。64年におきた「海瑞免官」をめぐる文芸論争を政治問題化させ、66年には「中央文革小組」が設置され文化大革命の基盤を作るとともに、劉少奇とトウ小平を失脚させた(67年)。実権は林彪派と四人組派に移る。69年には党規約に「後継者」とまで明記された林彪だが、その2年度には毛沢東暗殺クーデターに失敗し亡命中墜落死する。両者の関係は「きわめて政治的」であったという。その後周恩来の後継者として毛沢東の合意のもとに73年にトウ小平が復活するが、四人組の暗躍が毛沢東を動かし、76年1月の周恩来の死ととともにトウ小平は再度失脚する。
 毛沢東は同年9月に82歳の生涯を閉じるが、最後の最後までトップにしがみついた尋常ではない執念が見てとれる。
 なお、本書は江沢民時代まで網羅している。

■  中華回復、大躍進、文化大革命、そして改革解放…
抗日戦争と国共内戦を経て、アヘン戦争から100年後余、ついに中国は統一され「中華が回復」された。人民中国の建国当時は共産党以外の民主勢力の存在を認めた寄り合い所帯の政権であり、毛沢東自身もその路線で行くつもりだったらしい。ところが急速な冷戦の激化し、さらに朝鮮戦争という「熱戦」まで勃発し、毛沢東は国際的孤立感を深め、生来の「革命家」としての顔が再び顔を現わしはじめた。大躍進、とりわけ文化大革命の発生原因として毛自身の性格と、当時の中国に現われはじめた差別的社会構造に対する人民の鬱憤を挙げている。文革で麻痺した人民中国を「改革解放路線」で立て直す基礎を築いたのがトウ少平であり、彼が社会を混乱させずに、巧妙に最高権力を奪取する様も詳しく解説されている。

■  冷静な入門書
中国は近くにある大国であり、冷静に接することがむつかしいらしい。
どうしても、革命への賛美になったり、分裂の危機を云々する極端な論調になりやすい。中国自身がいまだに社会主義を標榜しつつ、市場化も進めているという存在であることが、輪をかけてややこしくしている。

本書でも「」つきのフレーズが頻出する。それは著者が紋切り型の分析を行っているからではなく、多くはスローガンであって、中国を対象とする限り仕方ないことのようだ。
著者は中国の動きを、5種類に分類するなど、冷静な観察者であろうと努めている。そうした点、好感の持てる本である。


 
 
 
 
  
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