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分子進化の中立説 
分子進化学への招待―DNAに秘められた生物の歴史 (ブルーバックス) 
ドーキンス VS グールド (ちくま学芸文庫) 
ダーウィン以来―進化論への招待 (ハヤカワ文庫NF) 
新しい発生生物学―生命の神秘が集約された「発生」の驚異 (ブルーバックス) 

 
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 生物進化を考える (岩波新書)
生物進化を考える (岩波新書)
 
¥ 819
発売日:1988-04
岩波書店
オススメ度:
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■  正しく理解する難しさ
生物進化に関する入門書ではあるが,内容は高度・本格的で,私のようなアマチュアは本気で取り組まなくてはきちんと理解できない。
進化学に関する現代の科学の知見を,研究の歴史を踏まえつつ偏りなく記述した本で,名著と言える。現代の知識人はこのレベルを把握することを目標としたい。
それにしても,この本を読んで考えさせられるのは,生物進化を正しく理解する事の難しさだ。
何となく突然変異と自然淘汰で分かった気になっているのが大方のアマチュアだと思うが,これが事実かどうかを検証するには数学的・統計的な扱いがどうしても必要になってくる。
「分子進化速度」の概念も正確に理解するのはかなり大変だ。
口当たりの良い表現でアマチュアに迎合するのではなく,読みにくくなるリスクを冒しても学問的に厳密に記述しようとした一流学者の気骨を感ずる。

■  不朽の啓蒙書
「分子進化の中立説」は分子レベルの進化に関する現代の定説として確立しています。高校の教科書なんかには「進化に関する多数の仮説の1つ」というニュアンスで紹介されていますが、とんでもない話で、その正しさはとっくの昔に確立しており、現代分子生物学の指導原理です。
本書は、中立説の提唱者ご本人が、進化学全体を展望したものです。豊富な学識を新書版1冊に圧縮しているため、読みやすくはありません。最初は前後を行きつ戻りつ読む必要があります。一度理解してから通読すると、何気ない記述にも重要な意味が込められている、その含蓄の深さに感銘を受けます。新書版だからということか、反対学派に対する歯に衣着せぬ批判も楽しいところで、こういう学者の本音は論文では読むことが出来ませんから。なお、進化学全体の展望であるため、中立説についての詳細な解説ではありませんのでご注意下さい。
この本を読めば生物学の見方が変わると思います。名著です。

■  名著…でも難しい
世界最高の進化生物学者に贈られるダーウィンメダルを受賞し(アジア人で唯一ではなかろうか)、日本が世界に誇る遺伝学者のたぶん唯一の一般向け著書。
数式が多用される章もあり全編にわたって分かりやすいとは言えないが、かいつまんででも読む価値はある。

ただ残念なのは、他の進化学分野と同じようにまだ本説に誤解が根強く残っていること。
ストレートに言えば、本説が自然選択説と反すると考えるのは全くの誤解であり、中立説を攻撃した60、70年代の研究者と同じ誤解をしている。中立説は自然選択の選択圧をうけず、自然選択の是非についてなにも言っていないからこそ「中立」なのである。今では「中立進化説」とよばず「分子進化の中立説」と呼ぶのもそのため。そして進化に方向性を与えるメカニズムはただ自然選択のみであると生前の木村も認めていた。

ゴリゴリの自然選択擁護者であるドーキンスもたびたび中立説を称賛しているが(彼は必ず木村に言及するとき「日本の偉大な遺伝学者」という)、これは中立説が分子時計発見のきっかけを与えたからだ。もちろん中立説の功績はそれだけではない。木村によって進化学説全体が大きく前進した。結果的に21世紀の進化学における比重は分子生物学側によったが、それが自然選択に対する誤解を(しかも30年まえと逆の形で)引き起こしていると知ったら木村はなんと言うだろう。是非とも正しく理解したいものだ。

■  専門性が高いです。
 論文集のように整理された内容であり、数式も散見され、岩波新書の中でも専門性が高い方だと思います。話題が非常に豊富であり、著者の考えが多く述べられているので、この分野を専門とする学生の方には良書であると思います。とは言え、一般にも分かる箇所も多くあるので、進化論に興味がある方にはお勧めです。個人的には著者が提唱した中立説が自然淘汰と肩を並べる位に重要な説であることを知り興味深かったです。

 
 
 
 
  
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