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 歴史の進歩とはなにか (岩波新書 青版 800)
歴史の進歩とはなにか (岩波新書 青版 800)
 
¥ 591
発売日:1971-10
岩波書店
オススメ度:
 


 


■  ものの観方を教えてくれた本
大学時代に読んで、最も蒙を啓かれた書物の一。今となってはある意味当り前ではあるが、「進歩」という概念がいかにあやふやなものであるか、疑うことの重要性と社会科学における相対的なものの観方の存在(意味)について、私は本書により初めて教えられた。若いうちに是非。

■  「進歩」というミーム(meme)の形成と伝播、変容
本書で印象的なのは18世紀の思想家の「進歩」観念。たんに科学技術の発展、経済成長、経済的効率性といったもののみを考えていたのではない。むしろ人間の道義的完成を以って、究極の進歩と考えていたらしい。キリスト教的な道義はこの世で完成可能であり、完成させるべきと考えていたように見える。現世における「悪の消滅」といった壮大な「進歩」観念を持っていたのである。
マルクス主義もこの発展型の一つだろう。
例えばチュルゴという思想家は、絶対的な神の目的論から自身の「進歩」観念を演繹した。究極の進歩に至るまでの戦争、人々の利己心、物欲なども、みな神の摂理であると考えた。
このように中世的なキリスト教観念が、近代の進歩史観成立に大きな影響を与えた。キリスト教の理想の現世における成就こそ進歩というべきと考えていたのだ。
一方、清末の革命家、章へい麟は人間の悪性の根源性と永続性を見据えるべきとしている。

■  固定観念を打破しよう
進歩史観というのは人々の思考の中に結構根強く残っているのではないか。まして現在のように技術と社会の変化が激しいと、歴史は紆余曲折を経ながらも、理性的で豊かで幸せな社会の実現へむけて進んでいるはずだと思い込んでしまう。おっと回りにコンドルセがたくさんいる。ちょっとこの本で再考する必要有りと思いますよ。

 
 
 
 
  
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