著者ははじめにこう述べる。「夢物語を語るわけではない」「どの地域のどの学校でも実現可能なものに限定している」と。確かに本書の構成は「危機の実態」を踏まえ「改革の構図」を示し、実践例を挙げている。 もともと現行の学級制度は国の富国強兵の名のもとに制度化されたものであった。上からの命令を効率的に伝達するためには、教育の中にその機能を取り組む事が一番手っ取り早い。かくて、学級制度は確立された。従って、学級(学校)制度は現代に合ったものに変容を遂げるべきである。それが筆者の述べる複式学級や30人学級などであろう。 そのような意味で筆者の教育改革論には賛成である。教育の批判論にありがちな「〜するべきである」調の論議が現実から乖離してしまっている風潮が、本書からはあまり感じられなかった。現実を見据えた教育改革論である。その点、各論を本書以外の本で著者の意見を掘り下げてゆきたい(本書は2、3時間で読めてしまう程の内容)。 しかし疑問をもった点も数箇所あった。例えば「教科書の図書化」について。教科書は自分なりに線を引いたり、自分の意見を書き込んだりしながら、オリジナルな物で勉強してこそ興味や関心が湧くのである。それを図書にすればより学びから遠ざかってゆく気が私にはする。 同僚性、学びの共同体、教職の専門職化などに関する記述には興味を引かれた。全体的に見て、物足りない気持ちは否めないが、まとまりのある良い著作のように思える。 |