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危うし!小学校英語 (文春新書) 
小学校での英語教育は必要か 
日本の英語教育に必要なこと―小学校英語と英語教育政策 
日本の小学校英語を考える―アジアの視点からの検証と提言 
小学校での英語教育は必要ない! 

  
 
 小学校でなぜ英語?―学校英語教育を考える (岩波ブックレット)
小学校でなぜ英語?―学校英語教育を考える (岩波ブックレット)
 
¥ 504
発売日:2002-03
岩波書店
オススメ度:
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■  簡潔にまとめられた「小学校英語」導入反対論

 外国語教育論者としても知られる、認知科学者・大津由紀雄と同時通訳者・鳥飼玖美子の2人の著者による、「小学校英語」導入反対論。著者らの主張が簡潔にまとめられた薄い小冊子で、サッと読めると思う。

 内容としては、まず、いわゆる「小学校英語」として具体的に何が導入されることになっているのかを簡単に整理したあと、外国語の早期教育に効果はあるのか、「コミュニケーション能力」とは何か、そもそも何のために学校で英語を教えるのか、について論じられている。

 『TOEFLテスト・TOEICテストと日本人の英語力』(鳥飼玖美子 2002年 講談社)、『英語教育はなぜ間違うのか』(山田雄一郎 2005年 筑摩書房)、そして本書と、日本の学校英語教育について(少なくとも部分的に)論じた本を読んで、僕なりに面白く感じているのは以下の3点。まず、早く始めるほど外国語の習得は容易だ、という説には(教育学的にも発達心理学的にも認知科学的にも)根拠がないらしいこと。第2に、本来別々のものであるはずの国際理解教育と英語教育を結び付けて論じることが様々な混乱を生み出していること。第3に、かれこれ15年程前から、日本の学校英語教育は「コミュニケーション志向」の内容に変わっており(しかも、それによって中高生の英語力は従来よりも低下しているらしい)、僕が受けたような文法・訳読中心の授業スタイルは過去の遺物であるらしいこと。既に行われていない授業スタイルを批判する、的外れな英語教育批判は少なくないようだ。学校で使われている教科書を見てみたくなってきた。


■  内容の濃い一冊
ブックレットなので、手軽で一日で読めるものである。しかし、内容は非常に濃く、小学校で英語教育に携わっている人には必読の一冊とお勧めしたい。著者は二人とも早期英語教育に対し消極的な姿勢を持っているが、その根拠の列挙に納得させられてしまう。真の意味での実践的コミュニケーション能力の育成のためには小学校ですることは英語教育ではない、と警鐘を鳴らしている。「なぜ小学校で英語を教えなければならないのか」と考えたことのある人なら、必ず興味深く読める一冊である。

■  にもかかわらず英語早期教育万能神話は消えない
とにかくわかりやすく,英語を小学校で教える必要はない,いや,教えることは害ばかりだ,と述べたもの。
途中,中途半端な文法談義をはさむものの,それ以外は,小学校での英語教育がなぜ無用なのか,誰でもわかるよう,丁寧に解説している。
小学校英語教育の教育的に利などないことは,背景思想を無視しても,いまや多すぎるほどの実証データからも明々白々。にもかかわらず英語早期教育信奉の弱まるどころか強くなるのは,もう,理屈でどうこうなる話ではないのかもしれない。
巨大資本という圧倒的な力が公教育を動かそうとするとき,理論や事実は対抗手段とならないのかもしれない。本書があまりにも当然のことをあまりにも当然にわざわざ主張しなければならなくなっていて,読んでいて脱力感に打ちひしがれてしまった。

■  日本人の英語に対する劣等感を払拭するためにも、そして子供たちの将来のためにも
 英語の勉強を始める年齢は低ければ低いほどよい。ネイティブなみの発音だって苦労なく身につくし、しち面倒くさい文法項目なんて気にせずとも流暢な英語を話せるようになるはずだ。
 …と漠然と考えている大人が多いことでしょう。そんな読者にぜひお勧めなのが本書です。

 頁数はわずかに70という手軽さ。論理展開はいたって簡潔明快。日本の公立小学校で英語教育が一斉施行されるのではないかという思い込みをまずただし、その思い込みに振り回されて子供たちに国家規模の実験が行なわれようとしていることを指摘します。その実験によって将来起こりうる問題点、そして実験そのものが明確な目的も、そしてまた満足な道具も持っていないことをつまびらかにしていきます。

 「日本人なら誰しも日本語ができる」という考え自体が実は根拠薄弱です。自分の考えを明確に説得力をもって提示することができる日本語の会話能力や、流麗で品位あふれる日本語を書く力は、日本人といえども日々の学習努力に負うところが大きいのです。昨今、インターネットで意味不明かつ時に暴力的なまでにすさんでいる日本語を目にするにつけ、だからこそ英語よりもまず日本語、と思わざるをえません。

 最後に一点だけ本書の弱点を指摘しておきます。
 著者二人が言語の認知科学や英語教育学を専門としていることが、本書を専門家向けの色合いが濃い本にしてしまったうらみがあります。関係代名詞の制限用法と非制限用法、音素識別能力といった言葉は、小学生の子を持つ平均的保護者には少々とっつきにくいものです。もちろんこのブックレットでも限られた紙幅の中でこうした専門用語を噛み砕いて説明する努力はしていますが、それでもこうした表現が登場した途端に本書は門外漢の読者をあっという間に遠ざける可能性が大きいと思います。ですからそもそもこうした表現を用いなければならなかったのだろうかという疑問は残りました。


■  教育関係者必読!
本書は、ばぜ小学校で英語教育がなされるべきではないのかを、論理的、かつ明快に述べている。英語教育の適切なあり方に言及しているのみならず、小学生という多感な時期において、教育においてなにがもっとも重要視されるべきか、という根本的な命題に挑んでおり、その説得力のある主張には納得させられる。教育関係者のみならず、これから子供に英語力をつけさせたいと思っている親にとっても、大変参考になる書となるであろう。

 
 
 
 
  
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