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自然な建築 (岩波新書) 

  
 
 負ける建築
負ける建築
 
¥ 2,310
発売日:2004-03
岩波書店
オススメ度:
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■  負けっぱなしの建築家!
著者は20年ほど前にはポスト・モダン建築で有名だった人です。ポスト・モダンは過去の様式の意匠を取り出してきて、それをデフォルメしたりて、メイン・モチーフとして配列しなおしてデザインする手法です。
負ける建築と言って、環境に融合したデザインと言っても、やっていることは環境からデザイン・モチーフを拝借してそれをメイン・モチーフとしているわけですから、手法としてはポスト・モダンと同じです。土地の稜線を生かしたデザインと言っても、自然と一体化しているわけではありません。建築は人工的な構造物ですから、いくらカモフラージュしても自然と対立していることには変わりません。
となると、著者は過去においては過去の様式に負け、現在は自然の造形に負けていることになります。負けっぱなしですね。もっとも、負けるが勝ちっていうのもありますが・・・
とは言うものの、著者に限らず有名建築家の建物は好きです。なぜなら、個人的な思いなり考えが大きなスケールで具体化しているものはどんなものであれ、見る価値はあります。それが何を示しているかは、それぞれですが・・・

■  負ける文章と勝つ建築
建築とは本来強いもの、周辺や自然環境に対して「勝ち」のイメージを持っているのは自明とも思えることであるが、この建築家はその状況の中で「負け」のイメージをもってこの本を書いたようだ。
隈研吾という人物はよくわからない。批判をしているようで、実はそうでなかったり、他の文章で言っていたことと矛盾していたり、特に自分の作品との矛盾が大きいような気がする。この本では自分の作品については一つも触れられていない。建築家の「言葉」は本来自分の作品を説明したり、設計プロセスや建築手法(建築論?)、その建築自体の存在意義のようなものを語るために自分に甘く書かれるものが多いが、そこからはその建築家の意思や思いが伝わってくる。また、その建築家の作品と照らし合わせたときに意味を持ったり、新たな発見があったりするものだが、この人の場合そんな「思想」のようなものが感じられないのだろうか?
割と興味を持った項目として「公・ブランド・私」というのがある。建築家というブランドに関するもので、安藤忠雄の例が紹介されている。建築ブームの中で公・オーソリティ(公共建築やエリート建築家?)と私・パーソナリティ(個人住宅やブティック)と建築家のブランド化やその戦略についてやや批判的に書かれている。
しかし現実は、著者である隈研吾も人気建築家として立派なブランドを形成しており、「隈ブランド」のファサードを次々と発表している。

■  人がいまのところは、瞬間移動できないならば?
■建築物は、物理的に存在しています。人は建築物に住むなり、建築物を利用なりします。
 ところがデジタル化された情報は電子的に機能しています。ここには可動性や流動性fluidityが働いています。
 
■つまり:人は物理的であり、存在的であり、要は鈍臭いのですが、社会=ポリスのほうは瞬時に移動可能になりつつあります(電子政府、eコマースなど)。この【矛盾】をどうするか?という面がこの本のフォーカスなのでしょう。

■この面を考え抜くことでこそ、新しい建築の可能性が開かれるのでしょう。ザハ・ハディドは新しく見えてきます。また強化ガラスで建築を「軽く」見せているつもりの建築物や、リーベスキントが、まだ「勝って」しまっていることに気づかせてくれます。「地下美術館」(安藤忠雄)ではまだ足りないのでしょう。


■  負けることが未来を拓く
 コンクリートがやわらかい思想性の現れだなんて、まったく冗談のような現実である。さまざまな考え方を、型を通して流し込まれたコンクリートが柔軟に対応して表現してくれる。コンクリートはその丈夫さとは裏腹に、人々の考えを柔軟に受け入れることを可能にしたのである。そして昨今のリホームブームが象徴する、共に成長する感覚。一度建てたものは、変わらない暮らしを僕らに強いていると思われていた。しかし、人間が成長していくことと同じように、建築物も変わり続けてもいいのである。そういう暮らしとともに修正が可能であることに、人々は目覚めたのかもしれない。建築は、人の為に存在する道を選んでいるのである。

 今後の建築の未来を考えてそういう結論を導き出したわけだが、だからこそ同時に僕らが向かうべき未来の提示にもなっている。僕らはどこにいこうとしているのか。その思索の手助けとして、時には建築のことも考える。それは極めて的を得た思考方法になりそうである。負けることは、他の世界でも十分に取り入れて活用できる戦略である気がする。


■  隈 研吾の世界・・・
全編に隈研吾の世界が色濃く出ていて、
私、個人としては読み始めて1時間程度で飽きました。
内容は・・安藤忠雄が建築の精神を語るならば、
隈研吾は建築の歴史と進化や建築の意味を書いています。
イメージを育てたい方には不適だと思います。
イメージどころか、がんじがらめにさせられる勢いです。
サイズは19×13×2

 
 
 
 
  
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