| DNAのらせん構造の発見で有名な、ワトソンとクリックのうちのクリック(フランシス・クリック)が書いた本。敢えてDNAのらせん構造の発見についてのトピックはあまり扱わずに、それ以外のことについて記述されている。特に、クリックは、もともとX線回折に精通していたため、ラマチャンドランプロットや、アルファヘリックス、重原子置換法といった現在のX線結晶回折で普通に使われている概念が、どのような過程を経て理論が組みあがっていったのかが書かれていて興味深い。 クリック自信は、理論物理家らしく(というか実験が下手)、自分では実験をしないようだ。(例外的に、コドンが3つの塩基から成り立つことを証明する際には、自分で実験を行っている。)そして、理論家たるものは、どう理論を組み立てるべきかという理念を説明している。実験家に無視されるのは何が足りないのか、どうすれば皆に認めてもらえる理論を提唱できるのか等々、特に理論家は読むべき本だと思う。 ちなみに、オリジナルの本のタイトル「What mad pursuit!」を日本語訳すると「狂気の沙汰の追求」といったような訳になるが、これは英国の詩人キーツの「ギリシャ壷の詩」からの1節らしい。なぜ、日本語訳の本では「熱き探求の日々」などという普通の言葉になってしまったのか、少々残念だ。 |